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テーマ : 熱海市

土石流被災地の声に寄り添う 震災経験の大学生「支える存在に」 八王子から歩いて熱海へ

 土石流災害現場の熱海市伊豆山で8月上旬、地元の人々の声に聞き入る大学生の姿があった。宮城県石巻市出身の阿部陽平さん(21)。「現場で見えてくるものがきっとある」。東日本大震災で被災した阿部さんは、東京都八王子市の自宅から歩いて伊豆山を訪れ、被災地をかけ回った。

地元の消防から話を聞く阿部陽平さん(左)=8月上旬、熱海市伊豆山
地元の消防から話を聞く阿部陽平さん(左)=8月上旬、熱海市伊豆山

 石巻市は10年前の地震と津波で甚大な被害を受けた。阿部さんの自宅は無事だったが、知人や祖父母の家に身を寄せた。「世間はがんばれと言うけど自分たちはすでにがんばってるよ」。近くの避難所やコミュニティーでそのような声が相次いだ。メディアの情報と現場の温度差を感じた。現場をより深く知りたいと思ったきっかけだという。
 土石流の被害状況をテレビで見て、その思いが強くなった。リュックを背負って自宅を出発し、約80キロの道のりをひたすら歩いた。「生半可な気持ちで来ている訳ではないことを示したかった」
 現場に到着し、言葉を失った。「東日本大震災と規模感は違うかもしれないが、被害の大きさは変わらない。規模の大小なんて関係ない」と局地的災害の怖さを痛感したという。公民館などを訪れ、地元住民やボランティア、消防などから当時の様子や今、困っていることなどを聞き回った。
 「国際協力や災害支援に携わりたい」とすでに進路は固めている。「東日本大震災の時は国内外のボランティアをはじめ、多くの人から支援を受けて今の自分がある。これからは自分が現場の声に応えて、支える立場、存在になりたい」
 

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