特集 : 函南町

感謝の聖火、勇気の走り誓う ダウン症の渡辺広太郎さん/姉実奈さん 25日裾野でリレー

 「障害があっても堂々と走る姿を見せて、お世話になった人に感謝を伝えたい」-。23日から25日に迫った東京五輪の県内聖火リレーに強い決意で臨むきょうだいがいる。ダウン症のある裾野市の渡辺広太郎さん(19)と、介助者として伴走する姉の実奈さん(23)。同じ境遇の子どもや家族に勇気を与えられると信じ、トーチを掲げる晴れ舞台を待ち望む。

聖火リレーの出番に向けランニングに励む渡辺広太郎さん(左)と姉の実奈さん=6月上旬、長泉町
聖火リレーの出番に向けランニングに励む渡辺広太郎さん(左)と姉の実奈さん=6月上旬、長泉町

 幼い頃から病弱で入退院を繰り返し、生死をさまようこともあった。母の万砂美さんは「無事に成長してくれるか不安だった」。姉の実奈さんと優奈さん(24)は、広太郎さんの入院中は病院に泊まり込んで支えてきた。
 2人の姉がバスケットボールを始めると、広太郎さんも一緒に教室に通ってスポーツが大好きに。弟の成長を見守ってきた実奈さんは誰よりも強くランナーに薦めた。400字の推薦文には「わが家の王子は大きくたくましく成長した。障害のある小さな子どもとその家族に勇気や希望を与えられる」と思いを詰め込んだ。最愛の弟が走る姿によって伝えられる力は誰よりも分かっている。
 東京五輪が1年延期になり、コロナ禍での実施となる。聖火リレーが行われる以上、走りたいという気持ちは変わらなかった。心に抱いていたのは「感謝」の思い。全力で応援してくれる姉たちや、バスケのコーチ、学校の先生、担当の医師。関わる人たちは偏見を持たずに優しく接してくれた。「人に恵まれた。嫌な思いはしたことがない」(万砂美さん)と、家族も周囲の気遣いに救われてきた。
 函南町の就労継続支援B型事業所に勤務しながら、週末には4キロのランニングを欠かさない。実奈さんらと休日が合うと、一緒に走る日もある。
 2人は25日に裾野市区間を走る。実奈さんは「(広太郎は)人前に出ることは好きだけど、本番は緊張するかも。心細い思いをさせないよう、隣で最高の笑顔で支えたい」と思い描く。渡辺家の“王子”は「感謝の気持ちを届けるために頑張る。手を振りながら走りたい」と、自らが輝く瞬間を心待ちにする。
 (東部総局・大石真聖)

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