特集 : 函南町

被害甚大台風19号、救助法適用少なく...他県と支援に差 2市町のみ、県対応に不備 

 静岡県や東日本に甚大な被害をもたらした2019年10月の台風19号で、本県が災害救助法を適用したのは住家が全壊や床上浸水した20市町のうち、伊豆の国市と函南町にとどまり、広く適用した他県との間で被災者への支援に格差が出ていたことが、9日までに分かった。牧之原市で今年5月に発生した突風被害でも同法適用は見送られた。県は、台風19号時の対応について不備を認め、改善する方針を示した。

河川氾濫で冠水した焼津市中心部。床上浸水被害も多数出たが、災害救助法は適用されなかった=2019年10月
河川氾濫で冠水した焼津市中心部。床上浸水被害も多数出たが、災害救助法は適用されなかった=2019年10月

 内閣府によると、台風19号では東京、千葉、新潟など14都県が391市区町村に同法を適用した。本県は約300世帯が床上浸水した伊豆の国市と約280世帯の函南町を対象とした。
 全壊家屋が一定数あることが、同法の基本的な適用基準だが、被災前であっても「多数の人が避難し継続して救助を必要とする場合」も適用できる。定めた条項に由来し「4号適用」と言われる。
 391市区町村のうち、被害家屋数を基準に適用したのは本県2市町と栃木県内2市だけで、ほかはすべて「4号適用」だった。宮城県は台風接近を受け全35市町村、新潟県は糸魚川市など3市に適用した。両県では、結果的に非住家を含め被害がなかったところも。新潟は死者はいなかった。
 一方、本県は静岡市や牧之原市で計3人が死亡し、焼津市で170世帯、静岡市で約40世帯が床上浸水するなどした。いずれの市町も被害家屋が基準に満たず、4号適用については「より大規模な被害での適用を想定していた」(県)ため、見送った。
 伊豆の国と函南を含め、適用された自治体では、家屋の応急修理費や使用できなくなった学用品の給付、加入する生命保険の保険金納付の猶予といった官民の支援が受けられた。
 牧之原市の突風被害では、住家6棟が半壊し非住家6棟が全壊するなどしたが、19号時と同様の理由で適用はしなかった。
 県の杉山隆通危機報道官は「牧之原の突風では市とも協議し、判断した」とする。一方、台風19号については「狩野川台風級の規模だとして警戒が呼び掛けられていたことを考えると、より多くの市町への適用はあり得た。教訓にして今後、柔軟な対応につなげたい」と話した。
 (社会部・武田愛一郎)

 ■災害救助法 災害発生直後の応急期に対応する法律。都道府県知事が国との協議の上、適用を決める。同法が適用されると、救助の主体が市町村から都道府県になる。適用を判断する基準の一つの全壊世帯数は、市区町村ごとに人口規模に応じあらかじめ決められている。迅速な支援実現のため、一定の条件下で被災前でも適用できる「4号」条項が設けられている。

 ■平等に受けられるよう意識を
 日弁連災害復興支援委員会副委員長の永野海弁護士(静岡市清水区)の話 災害救助法の4号適用は、国が都道府県に対し、ちゅうちょせず適用することを求めている。県は、被災した県民が平等な支援を受けられるよう常に意識し、準備してほしい。適用の可能性があれば、被災県民の代弁者として迅速に国との協議を進めてもらいたい

 ■災害救助法
 災害発生直後の応急期に対応する法律。都道府県知事が国との協議の上、適用を決める。同法が適用されると、救助の主体が市町村から都道府県になる。適用を判断する基準の一つの全壊世帯数は、市区町村ごとに人口規模に応じあらかじめ決められている。迅速な支援実現のため、一定の条件下で被災前でも適用できる「4号」条項が設けられている。

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