ウエストコーストブルーイング(静岡市駿河区)小島直哉さん カナダでの宣言胸に “二足のわらじ”実現【しずおかクラフトビール新世代⑬】

 飲食店経営者と醸造所の社員。小島直哉さん(33)は“二足のわらじ”でクラフトビールの世界を歩く。静岡市内の専門店「クラフトビアステーション」「cove」を運営する一方で、2020年3月、同市駿河区の醸造所「ウエストコーストブルーイング(WCB)」に入社した。

麦汁にホップを投入する小島直哉さん=5月下旬、静岡市駿河区のウエストコーストブルーイング
麦汁にホップを投入する小島直哉さん=5月下旬、静岡市駿河区のウエストコーストブルーイング
「NEVER ENOUGH BASS」(右)と「GREEN LIGHT」
「NEVER ENOUGH BASS」(右)と「GREEN LIGHT」
麦汁にホップを投入する小島直哉さん=5月下旬、静岡市駿河区のウエストコーストブルーイング
「NEVER ENOUGH BASS」(右)と「GREEN LIGHT」

 「約10年前から自分で醸造することを考えていた。日本トップクラスの醸造所でそれを学べるのは幸運」。タンクの洗い方、ホース類の殺菌方法、酵母の扱い方-。「手を動かさないと作業の意味が理解できない。全てが将来の役に立つ」
 出発点はカナダだった。大学院を出て就職を決めた自動車部品メーカーには、内定者の海外研修制度があった。小島さんが向かったのはトロント。到着直後に入ったバーでクラフトビールに出合った。「それまでは日本の大手メーカーのビールしか知らなかった。バーのオーナーに『どれにする?』と問われ、多彩な種類があることを知った」
 出されたイングリッシュペールエールは味、香り、色の全てが魅力的だった。「これをつくりたい。本当にやりたいことを見つけた」と確信を得た。
 会社の研修は内容を自主的に決めるルールだった。「ビールだ」。たどたどしい英語で、トロント市内の醸造所に片っ端から働かせてくれるよう頼んだ。10カ所に断られたが、最後の1カ所が受け入れてくれた。約半年間のボランティア。小島さんは、帰国前の送別パーティーで宣言した。「必ず、この世界に帰ってくる」
 言葉どおり、16年に会社を辞し、独立した。店舗経営が軌道に乗ったタイミングでWCB入社の話が舞い込んだ。同醸造所が指向する、米国の最先端のビールづくりを体にたたき込む。「毎週2、3種類は新しいビールをリリースしている。レシピや醸造の緻密さは、まさに世界基準」
 同社とは2年契約。その後、自らの醸造所開設を見据える。海辺でビールをつくり、静岡市内など3店舗で販売するビジョンを描く。「ホップが華やかなピルスナーや、レモンの皮を使ったベルジャンホワイト-。海の近くで飲むとおいしく感じるビールを目指す」
 (文化生活部・橋爪充)

 ■NEVER ENOUGH BASS
 ■GREEN LIGHT

 定番の一つ「NEVER ENOUGH BASS」(右)は、白濁した黄色が特徴のペールエール。パイナップルやオレンジのような果実味が感じられる。アルコール度数は5.0%で飲み口は比較的軽い。飲み込んだ後に適度なほろ苦さが訪れ、心地よく持続する。
 「GREEN LIGHT」は、リラックス効果が期待できるとされ、数多くの米国の醸造所で採用されている成分「CBD」を使ったセッションIPA。清涼感のある香り、かんきつ系のしっかりとしたフレーバー、優しい苦みが楽しめる。

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