中心街にストリートピアノ 音楽のまち、広がり期待【風紋】

 「音楽のまち」浜松市の玄関口のJR浜松駅周辺に、誰でも自由に弾けるストリート(街角)ピアノが新たに登場し、関心を集めている。街角ピアノは世界各地の駅や空港、公園などで憩いの場としての役割やにぎわい創出に一役買っている。市内で設置の動きが広がり、市民に愛される仕掛けとして定着することを期待したい。
 浜松まちなかにぎわい協議会が遠州鉄道新浜松駅高架下の商業施設1階に、4月に開設した「はままちプラス」。ガラス張りの半円形スペースに、市民から譲り受けたアップライトピアノを常設した。平日9千人、休日には1万9千人が往来する一等地に誕生した仕掛けの外観は、市内出身・在住の画家大沢朗さんが装飾を手掛けた。街の騒がしさを浜松の豊かな自然が包み込んで新しい音を生むイメージを、鮮やかな緑と青の抽象画などで表現した。音楽と芸術が融合し、貸し出し可能なスペースの認知度アップにもつなげている。
 大型連休中には、アクトタワー1階エントランスに足踏み式リードオルガンが5日間限定で特設された。アクトシティ活性化委員会が施設空間を有効活用して駅周辺の回遊性向上などにつなげようと初めて企画し、市楽器博物館が所蔵する1950年代のヤマハと河合楽器製作所製を順番に置いた。管理態勢などの課題を克服し、今後も定期的に実現してほしい。
 ほかに、浜松駅の東海道新幹線改札内に展示する河合楽器のグランドピアノは昨秋から再び試弾できるようになり、コロナ禍で乗降客が減った構内でひときわ存在感を放っている。いっときとはいえ、駅周辺の3カ所でピアノとオルガンを弾ける環境を創出できた。
 空洞化が叫ばれ続けている中心街に、新たな魅力創出は欠かせない。複合商業施設や公園、静岡文化芸術大など設置が検討できる空間は多くあるはずだ。全国各地のオープンスペースに期間限定で設置するヤマハ製「ラブピアノ」の音色が、地元浜松の公園で響き渡る光景も見てみたい。
 調律を含めた管理面などハードルは残るものの、関係機関や楽器メーカー、地域が連携を強め、可能性を探る作業を加速させてほしい。
 (浜松総局・荻島浩太)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ