JRとの対話解説 静岡県、函南で講演 流量減少や生態系影響【大井川とリニア】
静岡県は12日、リニア中央新幹線の建設工事を巡る県とJR東海の対話や進捗(しんちょく)状況に関する講演会を函南町文化センターで開いた。流量減少が懸念される大井川流域や周辺地域以外での講演は初めて。県職員が講師を務め、議論が食い違う県とJRの見解などについて説明した。

県くらし・環境部(南アルプス環境保全担当)の織部康宏理事は、トンネルの掘削により湧水が県外に流出し、大井川水系の水量が減少する可能性を指摘した。南アルプスの生態系に及ぼす影響、掘削土の崩壊や有害物質の流出の危険性にも触れ、今後の課題として湧水量の予測・評価、河川流量の変化、水を全量戻す現実的な方法―を挙げた。
約10カ月間で山梨県に流出する水量を300万~500万立方メートルと算出し、河川に戻すことで流量は維持されるとするJRの主張に対し、県は解析の不確実性や不備から「正確に予測できる精度のモデルではない」との考え。水を河川に戻す手法や期間についても、県とJRの見解の違いを解説した。
同町は丹那トンネルの工事で湧水が大量に流出した過去があり、水への関心が高い町民が多いという。講演は町消費生活研究会が県に依頼し、同会の総会に続く学習会として開催した。