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テーマ : 教育・子育て

四大進学率に男女格差 是正へ新知事の手腕期待 静岡県教育ジェンダー・ギャップ指数低迷

 地元に複数の大学があり、首都圏が近いにもかかわらず、四年制大学進学率に男女の開きがある静岡県。「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」で教育分野の全国順位は下位に低迷し、男女間の格差が埋まらない状態が続く。県行政のトップを決める選挙に当たり、専門家や女性の進学の障壁解消に取り組む学生は「新知事には格差是正に向けてリーダーシップを発揮してほしい」と望む。

県立駿河総合高の進路資料室。進学や就職に関連する資料を閲覧できる=4月下旬、静岡市駿河区
県立駿河総合高の進路資料室。進学や就職に関連する資料を閲覧できる=4月下旬、静岡市駿河区


「意思決定層に女性を」
 柔軟な科目選択ができる総合学科で人材育成を図る県立駿河総合高。3年生対象に4月に実施した進路希望調査では、男女ともに8割以上が進学希望だった。だが、このうち四年制大学を希望したのは、男子が6割に上ったのに対して女子は4割にとどまった。
 看護や保育、介護などを担うエッセンシャルワーカーを志し、専門学校を志望する女子生徒が少なくない。進路図書課長の成島修教諭(56)は「進路指導の中で男女に差をつけることは全くない」と強調するが、「女性にケア的な役割を求める社会の風潮が影響しているかもしれない」と推察する。
 同指数の基準で算定した本県の四年制大学進学率は男性54・9%、女性46・6%で、平等度は全国41位。静岡大の吉田崇教授(社会学)は「日本では、親が子に大学進学以上を望む『教育期待』が女子に対して低い」と指摘。その理由を「女性は出産によるキャリア中断や賃金が上がらない状況があり、親は女子の大学進学に〝費用対効果〟を感じにくい」と説明する。
 格差を埋めるには「多方面からのアプローチが必要」とし、県に対しては「長時間労働の是正など働く人全体の環境が良くなるよう、旗振り役を担ってほしい。女性にも昇進の門戸が開かれれば、親の教育期待も変化する」と訴える。
 「学校現場でも、進学に男女格差があることや、無意識の偏見に基づいた言葉がけがあることを認識してほしい」。静岡市葵区出身でNPO法人「#Your Choice Project」の共同代表を務める江森百花さん(24)=東京大4年=はそう話す。地方に住む女子生徒の進学障壁の解消に向けて活動し、今後は教員向けのセミナーを各地で提案していくつもりだ。「格差をなくす施策を展開するには、意思決定層にもっと女性がいる必要がある」と語り、新知事のかじ取りを注視する。
 (生活報道部・大滝麻衣)

 〈メモ〉都道府県版ジェンダー・ギャップ指数は、上智大の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が2022年から毎年3月に公表。47都道府県ごとの男女平等度を政治、行政、教育、経済の4分野でさまざまな指標を基に独自算出している。24年の静岡県の指数は、政治が16位、行政が33位、教育が37位、経済が42位だった。教育に関する指標のうち四年制大学進学率の男女格差は、22年が40位、23年が35位、24年が41位と、全国で下位の状態が続いている。

政党公認、推薦候補者に聞く
■大学進学率の差 どう是正?
 大学進学率の男女格差について、26日投開票の知事選の政党公認、推薦候補者の考えは次の通り。
 森大介氏(共産公認)教育に限らずジェンダー平等の視点をあらゆる面で貫く。県内の大学進学率を向上させれば女性の進学率も向上する。教育費用負担軽減になる県立大学の授業料を県内在住者には無償にするなど積極的に取り組む。
 鈴木康友氏(立民、国民推薦)本県の県立高校における男女の大学進学率は52対48で、やや男子生徒の進学率が高い。一方、女子生徒が専門学校に進学する割合は、男子生徒よりも20%ほど高く、こうした要因は加味すべきと考える。重要なことは早期からのキャリア教育であり、大学、専門学校、就職など、いずれの進路においても生徒の希望がかなうように取り組む。
 大村慎一氏(自民推薦)大学、専門学校などへの進学に対する情報量や教育体制のほか、その選択肢の幅や数など、都市部が圧倒的に充実していることが大きな原因の一つ。他県の女性進学情報を分析・結果の公表、高校教育における職業観を含めた多様な進学情報の提供を強化するほか、県内でも、デジタル大学などの学びの機会の充実や、大学の受け皿の拡大などに取り組む。

■ジェンダー格差解消に必要なのは
  地域からジェンダー平等研究会が算定した2024年の「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」で静岡県は経済42位、教育37位、行政33位と低迷しました。同指数の経済分野の低迷は、正規雇用の男女の賃金格差や女性社長、女性管理職の少なさなどが原因としてあり、背景に製造業中心の産業構造があると指摘されています。女性がやりがいをもって働ける職場を増やすために、県として何ができると考えますか。
  
 森大介氏 県などの公務で働く職員の半数が非正規で、しかもほとんどが女性。男女の賃金格差をなくし、非正規職員を正規職員にする、パワハラ・セクハラの根絶など職場環境の改善を民間に先んじて県が行う。
 鈴木康友氏 県はこれまでも女性活躍企業を応援しているが、製造業においても女性が活躍する企業は増えており、こうした企業を含め、広くダイバーシティー(多様性)経営を推進していきたい。また、ものづくり県として、製造現場における女性目線での商品開発に取り組む企業の支援策なども検討したい。
 大村慎一氏 地域社会全体で意識改革を進め、女性が生きづらさを感じない社会に変えていく必要がある。具体的には、県は職員の女性登用を進めるなど範を示すとともに、デジタルの活用で、女性の健康課題を把握して望まない離職を防ぐことや、従来の産業分野でも女性に職域拡大できる事例など、県内の経営者等に情報提供をしっかりと行っていく。
  同じく経済分野の指標の一つに、共働き夫婦が家事育児などに費やす時間の男女格差があり、女性には男性の5倍以上の負担がかかっているとの数字があります。こうした格差の解消に必要なことは何だと考えますか。
  
 森大介氏 女性が家事育児に費やす時間の多さの原因に男性の長時間労働がある。長時間労働の規制、同一労働同一賃金、男女格差の解消などジェンダー平等の働き方を徹底する。
 鈴木康友氏 内閣府の意識調査によると、50歳以下の男性の半数は、家事や育児の均等負担への意識や理解があることが分かる。そこで意識を行動に変えるため、男性の育休取得などをしやすくする取り組みを進める。また子育てや介護の現場では、女性に負担がかかってしまう傾向が強いことから、子育てや介護を支える支援策の拡充に取り組みたい。
 大村慎一氏 男は仕事、女は家事・育児のように男女の役割を無意識のうちに決めつけてしまう意識の改革を、地域社会全体で改善できるよう、啓発、教育を着実に進める。企業にはアドバイザーを派遣するなど、企業経営に好影響を与えた事例などを広報する。子育て支援も、社会全体で行うものであることを啓発しながら、男性育休の取得支援等を充実させる。
  行政分野の指標で、県の管理職(教育委員会事務局を除く)のうち女性の割合は11・6%で、全国1位の鳥取県(24%)とは大きな差があります。また、県庁の大卒程度の職員採用においても、女性は男性の6割程度にとどまります。県庁における女性の採用、登用をどう進めますか。
 
 森大介氏 県庁の職員の半数近くが非正規職員(会計年度任用職員)でほとんどが女性。同じ仕事をしながら正規職員との賃金格差が大きい。身分の安定と賃金の大幅上昇、女性の育児、介護など家事労働分担の是正は女性幹部職員を増やす大前提。
 鈴木康友氏 県庁における新規採用職員に占める男女比率は、受験者割合とおおむね比例している。また、年々管理職に占める女性職員の割合も増加傾向にある。今後も男女の隔てなく、働き続けられる職場づくりを進める。特に女性職員の産休・育休からの復帰にあたり、意向調査などを行い、希望がかなえられるような職場環境整備に取り組む。また、男性職員の育休取得がしやすい職場づくりにも取り組む。
 大村慎一氏 川勝前知事による、女性の容姿と学歴を結び付ける発言は、少なからず学生の選択に影響を与えたと考える。職員採用は、地方行政の仕事が、本来女性が活躍できる職場であることをしっかり広報し、誇りを取り戻す。幹部登用率は、女性職員のキャリア研修を強化し、任期中に全国トップ10入りを目指す。

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