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障害者雇用の機運高まる 静岡県内企業 4月法定率引き上げ、人手不足で拍車 行政、専門機関が定着支援も

 静岡県内で障害者雇用の機運が高まっている。法定雇用率の引き上げが4月に迫るほか、人手不足感の強まりを受け、障害者を戦力として迎え入れたい企業側の思いが後押しする。採用実績のない現場はノウハウと準備が欠かせず、行政や専門機関がマッチングに入るなどして雇用定着を支援する様子が見られる。

支援員の助言を受け清掃業務を体験する中村昇聖さん(右)=2月下旬、島田市内
支援員の助言を受け清掃業務を体験する中村昇聖さん(右)=2月下旬、島田市内

 「ますます(採用に)前向きになった」
 静岡市葵区の料亭浮月楼の森輝通支配人(52)は、2月に市内で開かれた障害者向け就職相談会を振り返った。洗い場や庭園管理の業務に関心を持つ知的や身体などに障害がある14人と面談し、高い意欲を感じたという。
 法定雇用率の引き上げで今春から自社に障害者の雇用義務が生じると知ったことが採用を考えるきっかけだった。離職率が高いサービス業は人材難が深刻。求人枠はこれまで主にシニア層に頼ってきたが、体力仕事もあり、「障害者の皆さんの可能性を感じ、いい出会いがあればすぐにでも受け入れたい」と話す。
 就職相談会はハローワーク静岡・清水などが主催した。参加した30社の求人総数は53人で募集職種は8分野と幅広く、担当者は「企業側の熱を感じる」と好感触を語った。
 マッチング支援は就労する側にも欠かせない。島田市の障害者就業・生活支援センターぼらんちは2月下旬、志太榛原地区で仕事体験会を企画し、障害者約120人と企業63社が参加した。同市の特別養護老人ホームあすかで清掃業務に臨んだ中村昇聖さん(25)は「すごく楽しくできた」と充実感をにじませた。
 ぼらんちの夏目芳行センター長(53)は「障害者は特定の作業に突出した集中力を発揮することがあり、即戦力や近い将来戦力になる人がいるはず」と体験会の意義を強調。この日に中村さんと同じ作業をした別の障害者が困難さを吐露した点に触れ、「ミスマッチ予防にもなる」と説く。
 障害者の受け入れが9年目になるあすかの萩原聡施設長は「(同施設の障害者雇用が)順調に見えるようでも、全ての障害者が定着したわけではない」と打ち明ける。その上で、障害者採用を検討する企業に向けて、「職場に写真付きの作業マニュアルを用意するなど障害者も分かりやすく、安心して働ける環境の整備を」と助言する。
 (経済部・河村英之)

法定雇用率2.3→2.5% 26年7月さらに拡大
 障害者雇用促進法は事業主に一定割合以上の障害者を雇用するよう義務付けている。法定雇用率は4月に2.3%から2.5%に引き上げられ、従業員数が40人の場合、障害者を1人雇う義務が生じる。2026年7月以降は2.7%、37.5人以上に拡大される。
 静岡労働局によると、静岡県で23年の民間企業の実雇用率は前年比0.05ポイント上昇の2.37%(全国2.33%)と11年連続で過去最高を記録し、法定率達成企業の割合は55.4%だった。
 雇用された障害者数は1万4145.5人(短時間労働者は0.5人換算)。産業別は基幹の製造業が4割を占め、医療・福祉18.0%、卸売業・小売業12.9%、サービス業6.6%などと続いた。
 県は就労相談窓口の設置や雇用推進コーディネーターによる企業支援を進め、雇用率アップを図る。

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