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テーマ : 三島市

時論(8月31日)朔太郎、「連詩の会」の系譜

 口語自由詩を確立した詩人萩原朔太郎(1886~1942年)は、昨年が没後80年。秋から年明けにかけて焼津小泉八雲記念館(焼津市)など全国52カ所の文学館や記念館が企画展を実施した。
 朔太郎の故郷前橋市などが主催する「萩原朔太郎賞」は、現代詩の賞としては屈指の権威を誇る。先週公表された今年の候補6詩集の作者名の欄に、静岡ゆかりの詩人がずらりと並んでいる。県内生まれが選ばれれば、2000年の江代充さん(藤枝市出身)以来。「文学の秋」の幕開けを飾る吉報を待ちたい。
 20代の水沢なおさん(長泉町出身)の「シー」は、第25回中原中也賞を受けた「美しいからだよ」に続く第2詩集。ダブルミーニングを巧みに駆使して「生まれること」「産むこと」を繰り返し語る。
 今年8月上旬に結成45周年記念ライブを行ったバンド「ヒカシュー」のリーダーでもある巻上公一さん(熱海市)の「濃厚な虹を跨ぐ」は、音楽と響き合う言葉の数々がこだまする快作だ。
 水沢さんは21年、巻上さんは20年に、本県で行う現代詩のイベント「しずおか連詩の会」に名を連ねている。同じ朔太郎賞候補に挙がる文月悠光さん、暁方ミセイさん、杉本真維子さんも「連詩の会」ではおなじみの詩人。それぞれ複数回の参加実績がある。
 同会創設者の詩人大岡信さん(1931~2017年)=三島市出身=は、朔太郎の名を冠した書籍でも知られる。朔太郎賞候補の大半を「連詩の会」勢が占めたことを、さぞ喜んだろう。現代詩を変革した2人の間で才能を磨いた詩人たち。朔太郎、大岡さんのバトンを受け取るのは誰か。選考結果発表は明日、9月1日。
 (教育文化部長兼論説委員・橋爪充)

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