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ホテルも人も「再生へ」 焼津のプロジェクト 支援必要な人が作業

 JR焼津駅近くの商店街の一角で、廃業したビジネスホテル(焼津市駅北)をゲストハウスにリノベーション(再生)するプロジェクトが進んでいる。2月から始まった作業は趣旨に賛同する市民の手で実施してきたが、9月からはDV被害者など社会的支援を必要とする人たちが加わる。完成までの期間をホテルの一室に住み込みで働きながら、自立への道を模索していく。事業を担う合同会社「リノベートジャパン」(東京都)の甲斐隆之代表(29)は「建物を再生する過程で人の再生も図りたい」と狙いを語る。

リノベーション作業を行うスタッフたち=焼津市駅北
リノベーション作業を行うスタッフたち=焼津市駅北
再生プロジェクトの舞台である廃業したビジネスホテルの入口=焼津市駅北
再生プロジェクトの舞台である廃業したビジネスホテルの入口=焼津市駅北
リノベーション作業を行うスタッフたち=焼津市駅北
再生プロジェクトの舞台である廃業したビジネスホテルの入口=焼津市駅北


 同社は都内で一戸建て住宅4件のリノベーションを手がけてきた。スタッフはいずれもDV被害を受けて自宅を離れていたり、家族との関係がこじれていたりする人たち。作業場を居場所にすることで、自立に向けた動きが取りやすくなるといい、これまで受け入れた5人は物件完成後に新たな道を歩み始めた。
 焼津市で再生を目指す物件はおよそ10年前に廃業したビジネスホテル。物件所有者から打診を受け、昨年8月に同社の甲斐代表が物件やその周辺を回ったところ、商店街で若い人が町を盛り上げていく様子に魅力を感じ、プロジェクトへの着手を決めた。
 作業開始前に開いたホテルの見学会やDIYイベント、改修前の壁に落書きするイベントに地域住民を招き、プロジェクトへの理解を求めた。2月からは趣旨に賛同した市民6人が作業スタッフとして入っている。9月から支援を要する人たちがスタッフとして入る予定。1階の比較的作業が終わっている部屋で寝泊まりするという。
 新施設の名称は「クラフトホテル西町ドック」。「地域住民と宿泊客の交流が生まれるゲストハウス」をコンセプトに、4階建ての21部屋を宿泊できるようリノベーションする。1階には地域住民もふらりと立ち寄れるようなコミュニティースペース、3階にはコワーキングスペースも整える計画。年内完成を予定している。
 (焼津支局・福田雄一)

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