静岡県内最賃40円上げ 中小 経営への影響懸念 不満も「やむを得ず」
静岡地方最低賃金審議会が過去最大の40円引き上げを静岡労働局に答申した7日、原材料・エネルギー価格の高騰に苦しむ県内中小企業からは急激な賃上げが経営に与える影響への懸念が相次いだ。新型コロナウイルス禍からの立て直しは緒に就いたばかりで、人件費のさらなる増加には「これからという時に…」との不満も漏れる。物価高の下で「やむを得ない」との声も聞かれた。
「電気料金はどんどん上がっている。40円の賃上げは正直厳しい」。わさび漬け製造販売などを手がける山本食品(三島市)の山本豊社長は、対前年引き上げ率4・2%の急激な上昇に困惑を隠せない。コロナ禍で増えた借金の返済も始まる中で、「もう少し緩やかに上げてほしい」と苦しい胸の内を明かす。
プラスチック部品製造「ソフトプレン工業」(浜松市西区)の前嶋文明会長も、ここ数年の大幅な最賃引き上げに「中小企業への影響は大きい」とみる。一方、物価高が続く状況から「従業員のやる気や定着率が上がれば」とし、全国平均時給が千円の大台を超えることで一服し「来年以降の賃上げは抑えられるのでは」との見方を示した。
スーパーおさだ(静岡市駿河区)の中川賢一社長は「40円は厳しいが、それに向けて努力せざるを得ない」と語り、賃上げ効果として「消費拡大にどこまでつながるか」と今後の景気動向に注目する。
(経済部・金野真仁、浜松総局・山本雅子)