静岡人インタビュー「この人」 静岡県司法書士会長に就任した 井上尚人さん(三島市)
5月末、県内8支部の会員485人で構成する県司法書士会の18代目会長に就任した。4月末に始まった「相続土地国庫帰属制度」など相続に関する仕組みが大きく変革する中、かじ取り役を任された。中央大法学部出身。趣味はプラモデル製作。50歳。
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-就任の抱負は。
「相続登記がされていないなどの理由で、全国の所有者不明の土地は九州の面積に匹敵するほど増加している。地方に行くほどその割合は増える。相続登記は司法書士の根幹業務の一つ。業界に課せられた使命として、法務局や県内行政機関と連携し、この社会問題の解決に取り組みたい」
-司法書士を目指したきっかけは。
「当初、不動産業界を目指し、宅建資格も取得した。バブル崩壊時に就職活動を迎え、手に職をつけたい思いで勉強を始めた。現在は全国的にも司法書士の志願者が減少傾向になっている。独立開業できる仕事として、県内の大学生に向けガイダンスなどを行い、司法書士の魅力をPRしていきたい」
-相続登記以外で力を入れたいテーマは。
「民事訴訟の当事者のうち、双方または一方が本人のみで対応する裁判が8割程度あると言われている。2022年の民事訴訟法改正で、裁判手続きのIT化が進んだため、対応に苦慮する人も出てきている。法の専門家である司法書士が丁寧に相談に乗っていきたい」
-会員に求めたいことは。
「人の心に寄り添う専門家として、われわれは地方にこそ必要な存在。法律を駆使して人の役に立つ職業であることに誇りを持ち、それぞれの地域の頼られる存在であり続けてほしい」