ろう者柔道家・佐藤さん 三島で教育実習「生徒の夢、応援したい」
「先生になって生徒の夢を応援したい」。2021年世界ろう者柔道選手権大会男子66キロ級準優勝の佐藤正樹さん(30)=三島市南二日町=が、柔道世界一とともに目指すもう一つの夢に向かい、南中で教育実習に励んでいる。「先生という誇りある仕事ができ、良い経験ができている」。生徒たちに自身の経験を伝え、充実した日々を過ごしている。

生まれつき耳が不自由な佐藤さんはケイアイチャレンジドアスリートチームに所属。2025年に国内で初開催される聴覚障害者のスポーツ国際大会デフリンピックの頂点を目指し、日大三島高や御殿場西高で稽古に打ち込む。部活動指導員として裾野高柔道部監督も務める傍ら、通信制の星槎大に在学し、中学・高校の保健体育の教員免許取得を目指している。
佐藤さんは中学時代、周囲に発音の悪さをばかにされ、けんかをすることも多かった。自己嫌悪に陥り、補聴器を捨てたこともあったという。親や先生にも反抗した経験から「自分が苦労した分、子どもたちを良い方向に導きたい」と教師を目指すようになった。
19日には、日本代表の柔道着を身につけ、2年生全員に道徳を指導した。過去の経験とともに、高校時代に恩師にかけられた「足が速い人がいれば遅い人もいる。聞こえないことも個性」との言葉を紹介。前向きに勉強や柔道に取り組むようになったきっかけだったといい、個性を受け入れ、長所を生かす大切さを伝えた。