南伊豆にドローン学校開校へ 自然環境生かして実践重点
南伊豆町に14日、同町の豊かな自然環境を生かしたドローンスクールが開校する。関係者によると、ドローンを巡っては昨今、国家資格を取得しても実践経験の不足から業務への対応力不足が懸念されているといい、課題解消の一手となる可能性がある。

埼玉県でスクールを運営するフリークスガレージ(同県)が町内の南崎認定こども園跡を拠点に開校する。スタッフの山田一仁さん(60)が父親の古里への貢献を模索する中で、同園跡を分校の開校地として白羽の矢を立てた。海と山の両方にほど近く、水中用ドローンも含めて練習環境が多様性に富んでいるのも要因の一つという。
5月24日の同園跡。同社のスタッフたちが体育館内でドローンを飛ばしていた。「講習に使う施設の内壁やバスケットゴールの安全性を調べているんです」と山田さん。高さ約10メートルの天井近くまで飛行させ壁の損傷具合などを搭載したカメラで確認した。人力による確認作業に比べ、足場の設置のコスト削減や安全性確保、視認性の向上などの利点がある-と強調する。
ドローンの国家資格については「試験内容が飛行に特化していて、いわゆる実際の『仕事』として業務に即対応できるかは難しい」と指摘。埼玉の本校では国家資格取得者も受け入れているという。南伊豆では風力や天候、気圧など多様な環境に対応できる人材育成につなげる。埼玉で学んだ生徒が技術向上へ数日程度希望に応じて滞在する見込み。本校の約400人の多くが南伊豆での実践を希望しているという。
同社は消防や行政への講習や観光向けの映像撮影により、地域にも貢献したい考え。今夏には海水浴場の安全確認へ試験的にドローンを運用する意向という。同社と協定を締結した町も防災訓練や災害発生時の物資輸送と安否確認にノウハウを生かしたいとしていて、町総務課の桑原信孝防災係長(45)は「今までにはない観点からの協力を受けられ、大変心強い」と期待を寄せる。