観光拠点の可能性は ヴァンジ美術館の在り方討論 三島でイベント
休館中のヴァンジ彫刻庭園美術館(長泉町)は4日、多様な人々を受け入れる博物館の在り方「ユニバーサル・ミュージアム」を考えるトークイベントを三島市の市民生涯学習センターで開いた。「ユニバーサルツーリズムの拠点としての可能性」と題し、「年齢や障害の有無にかかわらず誰もが気兼ねなく参加できる観光」の観点で、有識者が同館の活用可能性を語った。

ユニバーサルツーリズム研究者の久保田美穂子氏と一井崇氏が現状を紹介。久保田氏は「温泉や自然が豊かな県東部にある同館は観光ルート化しやすい」とし、一井氏は「五感の要素をどう組み込むかに新たな観光の可能性がある」と強調した。
「ユニバーサル・ミュージアム」の提唱者で自らも全盲の広瀬浩二郎・国立民族学博物館教授は「視覚以外の感覚を呼び覚まし、誰もが自らの内面に向かう体験を提供できるのがユニバーサルツーリズム。対象を障害者や高齢者に限定すべきでない」と提言した。
後半は3人とヴァンジ美術館の岡野晃子副館長が対談。庭園にある全ての彫刻を触れられることなど、同館のユニバーサル・ミュージアムとしての強みを整理した。その上で、観光客や地域住民に意義を伝えるためにできることを検討した。