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テーマ : 経済しずおか

乳牛の体重、AIが画像から推定 アプリ開発へCF 静岡県畜産技術研

 静岡県畜産技術研究所(富士宮市)が取り組む、乳牛の体重を画像から推定する人工知能(AI)の開発が実用化の段階に入った。これまでに3万以上の画像データを収集、学習させてAIを作成。専用スマートフォンアプリ開発費用のクラウドファンディングを実施中で、資金が集まれば年度内のアプリの発売を目指す。

画像から乳牛の体重を推定する人工知能開発を目指し、データ収集する職員=2021年8月、富士宮市の県畜産技術研究所(同研究所提供)
画像から乳牛の体重を推定する人工知能開発を目指し、データ収集する職員=2021年8月、富士宮市の県畜産技術研究所(同研究所提供)

 乳牛の写真を撮ると体格や骨格などから体重を推定するアプリの開発を計画している。体重の変化が大きい乳牛の健康管理には定期的な体重測定が望ましいが、多額の設備投資と手間がかかるため測定している酪農家はほとんどいないという。体重は餌や薬の量を決める重要な材料になり、同研究所の塩谷治彦研究調整官は「正確に測って管理すれば病気になりにくく乳量も増えるのではないか」と語る。
 体重測定が困難だという酪農家の声を受けて2018年に研究を始めた。近隣酪農家の協力も得てレーザーカメラで約3万枚の3D画像と体重データを収集。このデータを学習させ、規則性などから体重を推定するAIを作った。誤差50キロ以内に84・1%が入るまで精度が高まり「健康管理の必要条件は満たす」と判断した。次にスマートフォンのカメラで5千枚の画像データを集めた。
 開発資金が集まればレーザーカメラの画像と同じアルゴリズムで、スマホカメラの画像でも高い精度が得られるか検証する。必要に応じてデータを追加取得するなど改善を図る。特許を出願中。塩谷研究調整官は「肉用牛など個体管理している家畜には応用できる可能性が高い」と将来的に活用の幅を広げたい考えだ。
 学術系クラウドファンディングサイト「アカデミスト」で7月20日まで資金を募っている。

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