触る芸術鑑賞 意義語る ヴァンジ美術館イベント
休館中のヴァンジ彫刻庭園美術館(長泉町)はこのほど、多様な人々を受け入れる博物館の在り方「ユニバーサル・ミュージアム」を考えるトークイベントを三島市の市社会福祉会館で開いた。「ユニバーサル―」の提唱者で自らも全盲の広瀬浩二郎・国立民族学博物館教授とノンフィクション作家柳田邦男さんが、視覚に頼らない芸術鑑賞の実践例とその意義を語った。

2021年に民族学博物館で特別展「ユニバーサル・ミュージアム:さわる!“触”の大博覧会」を担当した広瀬教授は「ユニバーサル―」について「人と人の間に垣根がなく、みんながつながっていることを実感できる」と説明。作品に触れて楽しむ同展の、ヴァンジ美術館への巡回を提案した。
柳田さんはスマートフォンの普及など現代社会の諸相を挙げ、非言語コミュニケーションの重要性を指摘した。広瀬教授とともにヴァンジ美術館の彫刻を触れて鑑賞した経験を踏まえ「目をつぶって触れていると、奥の奥から(作品モチーフの)苦悩が湧き出てくる。視覚だけで、言葉だけで分かったように感じるのは浅い」と所感を述べた。