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テーマ : 経済しずおか

カウンターはありません 来店客との“壁”取り払い接客 静岡県東部の金融機関

 静岡県東部の金融機関でカウンター越しの接客をやめる動きが広がっている。来店客との“壁”を取り払い、これまで以上に寄り添って話を聞く環境づくりが目的だ。きめ細かなやりとりを重ねて最適なサービス提供につなげる。

リニューアルオープンした沼津信用金庫北支店。カウンターがない=沼津市宮前町
リニューアルオープンした沼津信用金庫北支店。カウンターがない=沼津市宮前町

 沼津信用金庫は22日に移転オープンした北支店(沼津市)を初めて、カウンターのない店舗にした。フルバンク機能を持つ店舗としては全国的にも珍しいという。店内には対面ブースやベンチソファ、個室があり、要件に応じて各スペースを使う。
 職員は固定席がなく、支店長を含め全員が接客を担う。原則として受け付けした職員が手続きまで案内する。経営企画部の野木徹雄部長は「客の安心につながる。職員を指名するようなコアなファンを増やしたい」と狙いを語る。
 新型コロナウイルス禍とデジタル化の加速を背景に新たな店舗づくりを模索し、移転新築した上町支店(御殿場市)で実験を開始。従来の待ち合いロビーを職員常駐のコミュニティースペースにしたところ、「(同金庫が)身近な存在になった」と評価された。客と関わる機会が増えて職員の成長が加速した。
 サービスのデジタル化に伴い金融機関の店舗網縮小が相次ぐが、野木部長は「信用金庫は客との近さが売り。まだまだ対面で相談する環境は必要」と話す。今後も建て替えに合わせてカウンターを廃した店舗を増やすという。
 スルガ銀行は県内と神奈川県の計3店舗を、カウンター越しに対応するスタイルをなくした「次世代型店舗」にした。カフェのようにくつろげる空間を目指し、小さな丸テーブルと椅子を置いた。受け付けを済ませた客は椅子に座って待ち、行員が客の元に赴いて対応する。担当者は「他人の目線が気になりにくくなり安心感を抱いていただけている」と手応えを語る。
 同行は店舗網の縮小を掲げつつ、顧客ニーズを捉えた店舗の在り方を探っている。22日には沼津駅支店(沼津市)を現金を扱わない「キャッシュレス店舗」に移行。担当者は「インターネットサービスと店舗の両輪でお客さまの利便性を維持したい」と話す。

 保守的イメージ脱却 沼津信金支店 移転刷新
 カウンターをなくした沼津信用金庫の第1号店舗、北支店(沼津市宮前町)が移転オープンした22日、多くの顧客が詰めかけ、店内のブースなどで手続きを済ませた。
 旧店舗から北に約450メートル。2階建て、延べ床面積約1061平方メートル。大きな吹き抜けの中央に階段を設けるなどデザイン性を高くした。
 職員数は13人。ATMコーナーにも配置し、デジタル機器操作など顧客の困りごとの相談に応じる。
 鈴木俊一理事長は「信用金庫の原点の対面をさらに進化させる。保守的な店舗づくりを脱却し、金融機関のイメージを変える」と話した。

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