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テーマ : 経済しずおか

沼津のオリーブ園 存在感高まる 脱サラ就農の金成さん開園10年

 開園から約10年がたった愛鷹オリーブ園(沼津市柳沢など)が地域で存在感を高めている。脱サラした園主が自宅駐車場の鉢に植えたのが始まりで、遊休地を再生しながら面積を拡大。自社製品に加え、地元の商店とのコラボ商品も誕生した。

オリーブの葉を収穫する金成さん=沼津市柳沢
オリーブの葉を収穫する金成さん=沼津市柳沢

 愛鷹山の麓、イタリア由来の約50本のオリーブが並ぶ農園。4月中旬、園主の金成健二さん(55)が葉の収穫に追われていた。「体に良く、世界中で愛されている。木の形もかっこいい。いいことばかり」と熱いオリーブ愛を口にする。同市など3カ所の農園で約100本を育てている。
 10年前、自分の力でモノを作る農業に従事しようと会社員を辞めた。適切に管理すれば数百年育つというオリーブに引かれ、ホームセンターで購入した苗木10本を植えた。農業経験はなく、無償で近隣農家の手伝いをしながら基礎を学んだ。イタリアから十数の品種を仕入れ、土地に合う品種を厳選した。使う農薬は最小限にとどめる。
 3年前にようやくオリーブオイルを初収穫したが、生産量はわずか。ポリフェノールが多く含まれる葉に着目し、葉を使ったお茶と塩を開発した。地元洋菓子店の目に留まり、ガトーショコラの材料になった。
 採算面は農園の太陽光発電収入の寄与が大きい。それでも「自分が好きなオリーブを好きになる人が増えればうれしい」と意欲を示す。観賞用として価値もあり、普及すればオリーブだけで事業が成り立つとみる。生産量の拡大を図るとともに、多くの人の手に取ってもらえるようオリーブを使った化粧品や装飾品の開発にいそしむ。

 伝道師として魅力発信 栽培ノウハウ紹介や農園開放
 金成さんはオリーブを広める活動にも積極的に取り組む。「オリーブを通じてつながる人を増やす」のが目的。産業として裾野が広がれば「農園が何百年も続く」と信じる。
 伝道師を自認して希望者に栽培ノウハウを惜しみなく紹介。愛鷹地区だけで20人以上が生産を始めた。オリーブ茶のオンライン飲み会を開き海外からも参加者を集めた。
 運営するオリーブ園は観光農園の位置付け。小屋やベンチ、椅子を置き、コワーキングスペースとして開放している。農業体験やオリーブに関する講座をコンテンツとして用意し、企業に活用してもらう考えだ。

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