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テーマ : 経済しずおか

南アルプス社有林から「たる」 静岡のウイスキー製造「十山」 間伐材で試作、目指す“地産地消”

 特種東海製紙グループで森林経営やウイスキー製造などを行う静岡市葵区田代の「十山」(じゅうざん)が、南アルプスの社有林から切り出した木材を使ったウイスキー熟成用たるを試作した。同市内の製材所や宮大工、板金加工所の職人たちが製作に協力。“地産地消”のたるが仕上がった。

オリジナルのウイスキー熟成用たるを試作した平井岳志さん(左から3人目)や製作に加わったさまざまな業種の職人たち=4月下旬、静岡市葵区南沼上
オリジナルのウイスキー熟成用たるを試作した平井岳志さん(左から3人目)や製作に加わったさまざまな業種の職人たち=4月下旬、静岡市葵区南沼上

 たる製造計画は、十山がウイスキー蒸留所を作った2年ほど前にスタート。同社は社有林の健全な環境育成のため、古く弱った樹木を伐採、搬出していて、たる製造に活用することで「SDGs(持続可能な開発目標)に貢献できる」との思いもあったという。
 今回使用したのは、南アルプス中心部に広がる井川社有林で伐採した樹齢約100年のミズナラ。同市駿河区の亀山製材所(亀山大樹社長)で板材に加工し、品質を安定させるためしばらく寝かした。
 昨年10月初旬、本格的に試作を開始。神社仏閣の建築を手がける「和杉」(同市葵区)の宮大工杉山安央さん(74)、和寛さん(36)親子が取り組んだ。製作経験がなかった2人は、参考に米国産中古たるを分解し、組み方などを調査。ヒノキ材で同じ大きさのレプリカたるを作って備えた。
 たるの組み立てでは長さ90センチ、幅5~7センチ、厚さ約3センチに加工した側板31本をたる両端をふさぐ直径60センチほどの鏡板の枠に沿って組み上げ、幅5センチの鉄製のタガをはめ込んだ。組み立てに必要な治具やタガは、板金加工業山崎製作所(同市清水区)の羽島俊介さん(44)が作った。
 「オリジナル感を出したかったので外国の文献に頼らず製作を進めた。試行錯誤をしながらも、製作のノウハウは確立できた」と、製造を計画した十山の平井岳志さん(42)。今回は試作として一つだけ作ったが、今後、社有林整備で適した木材が搬出されれば量産するという。

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