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テーマ : 三島市

静岡県内7市議選 戦いの軌跡 沼津/三島/富士宮/富士/熱海/下田/湖西

静岡県内7市 新市議データ(数字は人数) 定数計150 党派別
静岡県内7市 新市議データ(数字は人数) 定数計150 党派別

 統一地方選後半戦の静岡県内10市町議選は24日未明までに、沼津、三島、富士宮、富士、熱海、下田、湖西の7市議選で計150議席、松崎、函南、清水の3町議選で計38議席が全て確定した。このうち、182人が激しい戦いを繰り広げた7市議選の軌跡を追った。
 新顔台頭 下位は激戦 沼津
 36人が28議席を争った沼津市議選は、新人12人のうち7人が当選する健闘を見せた。そのあおりで現職の大半が前回より票を減らし、大台の3千票超の当選者はゼロに。下位は数十票差で並ぶ激戦となった。女性は1増の5人で最多だった2003年と同数。投票率は39・54%で、前回に続き過去最低を更新した。
 トップ当選は所属する明電舎労組の関係者に加え、地域や関係人脈を駆使して集票した深田昇氏。2~4位には女性現職3人が並び、女性の政治進出が徐々に進む動きを象徴した。
 新人では教育関係者や地域票を固めた大草満氏、議員空白地域の西浦地区から立ち、血縁や出身の商議所人脈を生かした大川敬太郎氏が2千票台に乗せ、堤飛鳥氏も地盤を継いだ引退議員の前回票より伸ばして戸田地区の議席を守った。今沢地区を地盤にした佐野博一氏も滑り込んだ。現職は市川道隆氏、梅沢弘氏、岡田進一氏が涙をのんだ。
 自民は5人全員が前回より得票を減らす一方、公明は3人全員が手堅く上位当選。15年以来3人を擁立した共産は新人2人に現職が押し出された。立憲民主は1議席を死守し、連合推薦は前回次点の佐藤健一郎氏が雪辱を果たして5人が当選した。
 初めて公認候補を立てた維新、れいわ、参政の各党候補は及ばなかった。

 現職全23人 議席守る 富士
 定数を10人超える候補が出馬した富士市議選は、立候補した現職23人の全員が議席を守った。新人は19人のうち9人が初当選。
 上位は現職組で予想された名前が並んだ。唯一の自民公認でトップ当選の下田良秀氏は、勢いを見せた前回から500票を上乗せして4千票に迫った。次いで長谷川祐司氏が出身労組の強力な支援を受け、2千票台後半の混戦を抜け出した。3位の荻田丈仁氏はベテランが退いた隣接地区にも支持を広げ、前回トップの地力を見せた。荻田氏と同じ須津地区から立った佐藤菊乃氏は、引退市議の支援を受けて初陣を4位で飾った。
 新人2人が名乗りを上げた富士川地区は共倒れも危惧されたが、4人全員が当選をつかんだ。女性議員は6人から7人に増えた。
 党派別では、公明が現職3人で票を分け合い、立憲民主は公認の新人が最下位で滑り込んだ。共産は引退議員の票を受けた新人が及ばず議席を1に減らした。参政の公認候補、れいわの推薦候補は1千票に届かなかった。
 投票率は過去最低だった前回からさらに1・64ポイント下げて40・92%。3千票の大台を超えたのは前回の8人から2人に、2千票を超えたのは29人から19人に減った。票が分散する戦いで、当確ラインは1500票近くまで下がった。 

 元職が過去最多得票 三島
 22議席を28人が争った三島市議選は、昨年の市長選を戦った元職が4千票を超える過去最多得票でトップ当選した。最年少の29歳の新人が当選し、維新が議席を獲得。女性議員は改選前から1人増え、過去最多の7人となった。投票率は46・49%と前回選から微減し、過去最低を更新した。
 激戦の中郷地区は9人全員が当選。地元で票の取り合いを繰り広げながら他地区での集票に成功した。市長選に出馬した石井真人氏は知名度を武器に戦い、古長谷稔氏も地盤が重なる新人に苦戦しながら市全域で支持を集めた。29歳の本間雄次郎氏は若さを売りに他地区でも浸透し、新人候補として最多得票を獲得。再挑戦の高田康子、秋山恭亮両氏も初当選した。
 労組の支援を受けた川原章寛、宮下知朗両氏は組織力を生かして支持を集め、公明の3人も支持層を固めて盤石だった。元職の弓場重明氏は、維新公認を受けて返り咲いた。
 一方、6期目を目指した松田吉嗣氏、3期目を狙った佐藤寛文氏が落選。参政党の山崎照代氏も一歩及ばなかった。10人が名乗りを上げた北上地区の吉田よしお、加藤貴康、近藤正文の3氏は支持を広げられなかった。

 小差で現職 涙をのむ 富士宮
 議長選を巡る贈賄事件などを経た後の任期満了に伴う富士宮市議選は、定数22を巡って現職16と元職1、新人8の計25人が争った。地元にうまく浸透した新人2人が上位に入るなど、地盤と組織を固めた候補から順当に当選した。一方で、投票率は前回選を1・62ポイント下回り、過去最低の45・80%だった。
 4年前の県議選落選から市議補選で復活し、連日、街頭演説を続けた望月芳将氏が、次点に千票近く差をつけてトップ当選した。元市長の祖父から受け継ぐ後援組織もフル回転した。人口の多い地区から出馬した中野健太郎氏と赤池弘源氏の両新人は早々に自治会の理解を得て2千票後半まで伸ばした。公明の3氏は手堅く組織票を分け合った。
 不祥事絡みで辞職した稲葉晃司氏は各地で謝罪の言葉を口にし、後援組織を機能させて5度目の当選を果たした。下位は当落ラインの上下50票に5人が集中する混戦で、現職の細沢覚氏は27票差で涙をのんだ。
 投票率が下がったにも関わらず、白票は前回選から約1・7倍の554票と増え、投票全体の1・1%を超えた。市議会は市民の信頼を回復する議会運営ができるかが問われる。

 現職、元職 堅調な戦い 熱海
 定数15を17人で争った熱海市議選は現職、元職が堅調な戦いぶりをみせ、南熱海や観光関係の票を固めた自民現職の川口健氏が前回に続きトップ当選した。公認を1人減らして組織票をまとめた公明現職の後藤雄一氏が2位。4年前に20票差で涙をのんだ金森和道氏、昨年の市長選に出馬した泉明寺みずほ氏の元職2人は地元が重なるものの共に上位で返り咲いた。
 新人は4人が当選。このうち40歳の山田景照、新野陽平の両氏は子育て世代の代弁者として住環境や教育の充実を訴えて支持を得た。昨年の補選で無投票当選し、今回は上位当選を果たした自民現職の杉山恭平氏を含め、若手への期待をにじませる結果になった。
 候補者擁立に苦戦した共産は新人で82歳の高井一幸氏が小差で議席を死守したが、組織力の低下が浮き彫りになった。落選した2氏は街頭演説の応援弁士に有名人や党代表を呼んで観光の活性化などを訴えたが、票が伸びなかった。投票率は51・18%と前回選を3・00ポイント下回り、過去最低となった。

 新人1位 女性も復活 下田
 定数13の下田市議選は新人8人が当選。改選前から半数以上が入れ替わり、新鮮な顔触れとなる。
 トップ当選を果たしたのは自動車学校経営の新人大西将由氏。出馬表明は候補者中最も遅かったものの地盤の稲生沢地区を手堅くまとめ、他地域にも広く浸透した。他の新人では元市長の楠山俊介氏、元市職員の土屋仁氏、主婦目線での教育振興を訴えた天野美香氏が上位に進出。岡崎大五氏は2度目の挑戦で当選圏内に滑り込んだ。
 現職は当選した5人がいずれも前回選から得票を減らした。それぞれ地盤から複数候補が出馬する混戦となった上、新人躍進のあおりを受けた格好となった。佐々木清和氏は現職で唯一議席を失った。
 投票率は過去最低となった2019年の前回選の61・18%をも下回る59・17%。告示直前まで市制施行後初となる無投票が取り沙汰され、選挙戦は盛り上がりに欠けた。
 女性市議が2015年以来、復活した。市選管によると、女性2人の当選は市制初という。

 組織票の2人 上位に 湖西
 湖西市議選は定数18に19人が出馬し選挙戦となったが、最後に届け出た新人山田康則氏が選挙運動をほぼ行わず落選した。無投票は回避されたが論戦は盛り上がりを欠き、「実質無投票」ともささやかれた。投票率は過去最低だった前回を6・54ポイント下回る53・16%。現職の大半が前回選から得票を減らした一方、新人の躍進が見られた。
 現職では楠浩幸氏と佐原佳美氏がそれぞれ連合票、公明票を手堅くまとめ、4回連続の1位、2位当選を果たした。
 新人では相曽桃子氏が3位で初当選。選挙カーを使わず徒歩での訴えやSNS発信に注力し、若年層の支持や浮動票の獲得を図ったことが奏功した。
 山本晃子氏は参政党員の豊富な運動量で知名度を高めて1273票を獲得した。引退した地元議員の地盤を引き継いだ山口裕教氏は手堅い選挙戦を展開した。寺田悟氏は地元票を足掛かりに集票した。
 現職は各自の支持層を固めたものの、投票率低下の中で得票を減らした候補が多かった。

 女性増加 2割超え 50代以下半数 世代交代進む
 統一地方選後半戦のうち、県内7市議選の当選者150人を分析した。男女別では、女性が前回より7人増えて32人と、全体の2割を超えた。三島市、湖西市では全議席の3割を占め、下田市では8年ぶりに議席を得るなど、徐々にだが女性の政治進出が進む結果となった。
 世代別に見ると、50代以下が半数となり、世代交代が進んだ。60代は前回と比べ6人減、70代以上は2人減。三島市では29歳の新人が当選、富士市でも30代の新人2人が初陣を飾るなど、若手の伸長も目立った。新旧別では現職が前回比11人減と議員の入れ替わりも進んだ。
 党派別では、自民、公明は前回選から各1減。共産は2減った。維新は三島市で元職が当選、5市で擁立した参政は湖西市の1人のみが議席を確保した。

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