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袴田さん釈放9年 静岡地裁決定のウェブ掲載、支援団体が再要請

 現在の静岡市清水区で1966年、一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)が釈放されて27日で9年となった。袴田さんの再審開始と死刑・拘置の執行停止を認めた2014年の静岡地裁決定(村山浩昭裁判長)は裁判所のウェブサイトに載っておらず、袴田さんの支援団体は同日、地裁に「日本の刑事裁判史上極めて重要な判例となった村山決定は特筆に値し、広く一般に公開されてしかるべき」として掲載するよう再要請した。

2014年の静岡地裁決定で釈放されて9年。袴田巌さん(手前)はたびたび集会にも顔を見せる=25日、静岡市内
2014年の静岡地裁決定で釈放されて9年。袴田巌さん(手前)はたびたび集会にも顔を見せる=25日、静岡市内

 地裁決定を取り消した18年の東京高裁決定と、審理不尽の違法があるとして高裁に差し戻した20年の最高裁決定はウェブサイトに載っている。支援団体によると、21年にも掲載を要請したが、地裁は高裁で審理が続いていたことを理由に掲載しないと答えたという。
 袴田さんの再審開始の可否を巡っては、差し戻し後の即時抗告審で東京高裁が今月13日、地裁決定を支持して検察の即時抗告を棄却する決定を出した。検察が特別抗告を断念したため、再審開始が確定。今後、地裁で再審公判が開かれる。
 支援団体は要請書で、21年の要請時と異なり「村山決定の判例的価値が揺るぎないものになった」と指摘した。さらに再審開始が確定し、地裁が不掲載の理由に挙げた説明は「説得力を失った」と主張。その上で「村山決定の最大の功績は袴田さんを直ちに釈放し、司法の正義を貫いたこと。これ以上に刑事司法の真価が発揮された事例を知らない」と訴え、市民が情報にアクセスできるよう速やかな掲載を改めて要求した。
 袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会のメンバー4人が地裁を訪れ、要請書を提出した。「掲載しなければ国民の知る権利を著しく阻害していると判断されかねない。掲載されるのでは」と期待感を示した。

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