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岳鉄 グッズで盛り上げたい 社員の藤咲さん エクセル駆使しイラスト制作奮闘【動画あり】

 富士市の岳南電車(通称・岳鉄)に「エクセル職人」と呼ばれる社員がいる。吉原駅に勤務する藤咲拓也さん(35)。運行管理や改札対応といった業務の合間に表計算ソフトのエクセルを駆使し、グッズなどに使うイラストを制作する。4月に発売される分社化10周年記念乗車券セットの原案も手がけた。数千の図形を組み合わせた緻密な作品はまさに匠(たくみ)の技だ。

エクセルを使って数々のグッズをデザインしてきた藤咲拓也さん=2月下旬、富士市の岳鉄吉原駅
エクセルを使って数々のグッズをデザインしてきた藤咲拓也さん=2月下旬、富士市の岳鉄吉原駅

 イラスト制作にはエクセルの図形機能を用いる。文字や数字を打ち込むためのマス目「セル」は無視して直線や四角形を重ねていく。モデルとする車両の写真を最背面に写しながら、図形の配置や角度を調節する。古い車体の文字は職人の手書きのため既存のフォントは使わず、曲線で再現する。
 藤咲さんは元々イラストの知識を持っていたわけではなかった。エクセルでも絵が描けることをネットで知り、機能の使い方を一から調べた。自身の想像を表現できるまでには「かなりの時間がかかった」と振り返る。
 乗客の減少が進む状況に危機感を抱いていた藤咲さんはグッズ売り場から変えようと、エクセルの勉強と平行してポップ作りを始めた。
 岳鉄は12年に貨物輸送を休止し、観光資源としての価値を高める路線に変更した。そうした中で藤咲さんは数々の企画を打ち出し、コストをかけずに存在価値を高めてきた。
 藤咲さんのイラストはタオルなどのグッズになり、機関車のキャラクター「岳じい」も生み出した。文房具の商品化も見据えている。同社幹部は「普通であれば外注するような業務をこなしてくれている」と感心する。
 「岳鉄を目的に旅行してくれる人を増やしたい」と語る藤咲さんの目標は全車両のキャラクター化だ。駅舎のパソコンで地道な作業に没頭している。

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