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小規模市町の空き家対策 他自治体や民間と連携を【統一地方選 地域課題を考える 記者からの提言㊥】

 少子高齢化による人口減少に伴い、全国的に増え続ける空き家。空き家増加で起こりうる問題は老朽化による倒壊の危険だけでなく、景観や治安の悪化にもつながり、伊豆半島の主幹産業の観光に悪影響をもたらす可能性がある。また、伊豆半島南部の賀茂地域は高齢化率が高く、今後さらなる空き家の増加も懸念され、対策強化が喫緊の課題だ。

長年使われていない空き家。放置された家屋は全国で増えている=3月下旬、松崎町
長年使われていない空き家。放置された家屋は全国で増えている=3月下旬、松崎町

 「人手不足で対策自体が難しい」。松崎町の空き家対策の担当者は嘆く。同町は空き家バンクを通じて情報を発信。町と協定を結ぶ不動産業者が所有者と利用希望者を仲介して売買や賃貸契約をする。しかし、同町の空き家は238軒(2020年調査)で、空き家バンクの登録物件は15軒(23年3月時点)にとどまる。空き家を解消する効果的な仕組みとは言い難い。
 利活用を進めるには、住民主体で地域の空き家を管理するなど移住者を受け入れる体制の整備が大事だ。地域で移住者の歓迎ムードを作る必要がある。同町では移住者が空き家を使った宿泊施設を開設しようとする動きもある。そういった活動を促すには、取り組みへの助成金など市町の後押しも必要だ。
 職員数が少ない小規模自治体で対策を推進するには、地域住民やNPOなど団体の力が不可欠だが、専門知識を持つ人材は限られる。そのため、伊豆半島の複数市町で連携した仕組みを構築し、情報や知見を共有するべきだ。国や県が市町に空き家対策専門の職員を派遣し、旗振り役を担わせてもいいのではないか。
 最も重要なのは、管理不全の空き家発生の予防だ。所有者が不明だったり、管理方法が分からなかったりして空き家が放置され、老朽化が進んでいるのが実情。悩む住民や所有者が相談できる場を提供しなくてはならない。
 まちぐるみで対策に力を入れる島根県出雲市では、行政と連携したNPO法人が空き家相談のワンストップ窓口になり、コーディネーター育成や関係機関へのつなぎ役を担う。空き家の解消には、他の自治体や民間との連携が鍵になりそうだ。

 ・複数市町が連携する仕組みで人材不足補え
 ・民間と連携し相談体制の拡充や人材育成も
 ・国や県は旗振り役の専門職員派遣を

 

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