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浜松・水窪小 新入生不在の春、創立150年で初めて 地域の衰退懸念も

 浜松市天竜区水窪町の水窪小は創立150周年の節目となる2023年度、初めて新入生不在の春を迎える。中山間地域に位置する水窪町では、子どもの進学を機に子育て世帯が市中心部へ生活拠点を移す傾向が続く。児童と交流がある地元住民は「寂しい。子どもは地域に元気を与えてくれる存在」と地域全体の衰退を心配する。

一輪車パフォーマンスを披露する水窪小の児童=2022年10月、浜松市天竜区水窪町
一輪車パフォーマンスを披露する水窪小の児童=2022年10月、浜松市天竜区水窪町
創立以来初めて新入生が0人となった水窪小=2月下旬、浜松市天竜区水窪町
創立以来初めて新入生が0人となった水窪小=2月下旬、浜松市天竜区水窪町
一輪車パフォーマンスを披露する水窪小の児童=2022年10月、浜松市天竜区水窪町
創立以来初めて新入生が0人となった水窪小=2月下旬、浜松市天竜区水窪町

 同小は1873年に創立された。最も人口が多かった1950年代には千人以上の児童が通っていた。林業の衰退やダム建設の完了に伴い、子育て世帯を含む人口全体が縮小し、22年度現在で児童数は36人。23年度は27人となる。
 同小によると、水窪幼稚園を卒園した2人が入学予定だったが、家庭の都合で別の地域へそれぞれ移る。中村則和校長(56)は「小規模の学校をどう盛り上げていくべきか、これまで以上に考えないといけない。若い人の存在が地域の活気を生む」と学校の存在意義を強調する。
 同小は授業を通じた地元住民との関わりが深く、開放的な校風が定着している。水窪の郷土文化を学ぶ授業や全校児童による一輪車パフォーマンスの披露など、幅広い経験が児童の成長を支える。
 新入生がいない初の事態に、地元住民は不安を感じている。
 地域学習の講師役として児童と交流がある同小地域サポーターの代表を務める伊藤進さん(81)は「児童の確保は今難しい。子育て世帯が(人口の多い)浜北区などへ移ってしまう」と話す。伊藤さんは農作業体験など貴重な体験の場を児童に提供してきた。「水窪小は元気であいさつができる子どもが多い。一人でも増えてくれるとうれしい」と話す。同町の伝統料理の継承に取り組む守屋千づるさん(68)は「水窪の素晴らしい自然や文化を伝えていく人がいなくなってしまう」と心配する。同町在住の60代男性は他の自治体が取り組む定住対策を挙げ、「山村留学のような形で、他県の子どもを受け入れるアイデアがあってもいい」と話した。
小規模校の対策 議論を
 水窪小に限らず、少子高齢化が進む天竜区の複数の小規模校で新入生は一桁台にとどまる。水窪町に隣接する同区佐久間町の新入生は佐久間小4人、浦川小1人。また、同区横山町の横山小は1人が入学する。
 児童の確保が急務となっている学校は少なくない。今後、小規模校の児童をどのように確保していくか議論の本格化が求められる。

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