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テーマ : 沼津市

沼津商議所特別委が始動 世界的潮流受け4月 脱炭素へいち早く成果を【解説・主張しずおか】

 沼津商工会議所(紅野正裕会頭)が先月、地元企業による脱炭素推進特別委員会を新設し、4月から始動することを決めた。世界的に脱炭素の動きが加速する中、地元経済界が先駆的に取り組み、今後は地域全体への波及と会員企業の新たな収益源に成長させたいと意気込む。まずは各社の情報共有から始める計画だが、遅々として道筋が定まらないとかけ声倒れと受け取られかねない。早い段階で具体的な成果を打ち出す努力が不可欠だ。

脱炭素推進特別委を設置した沼津商工会議所の常議員会。具体的な成果が不可欠だ=2月中旬、沼津市
脱炭素推進特別委を設置した沼津商工会議所の常議員会。具体的な成果が不可欠だ=2月中旬、沼津市

 特別委設置は紅野会頭の肝いり。来秋に予定される太陽光発電国際会議の沼津市誘致に県東部コンベンションビューロー会長として関わったことが大きい。各国・地域の研究者と環境問題について、富士山や伊豆半島などの豊富な自然に恵まれた地元で議論し、世界に施策を発信したいとの考え。その前段階として、商議所が音頭を取り国際会議までの約1年をかけて先進事例を示す方針だ。
 沼津市も頼重秀一市長が「ゼロカーボンシティNUMAZU2050」を表明し、趣旨に賛同する全国自治体で構成する協議会に加盟した。特別委は製造業が中心で、脱炭素測定システム導入や社内に専門部署を設置している金融機関、エネルギー供給企業が加わった。行政と経済界が両輪となって進める体制が整ったと言える。不可欠な市民の理解と協力を得るためにも連携してほしい。
 ただ、商議所加盟の各社間で“格差”があるのは否めない。全国展開する企業は事業所レベルで設備を導入するなど既に取り組んでいたり、従業員教育を採り入れたりしている。一方、中小零細企業は、脱炭素の必要性は理解していても人員や情報が不足しがちだ。設備投資に回す余力も限られ、事業規模間で差が出てしまう懸念もあるなど課題は存在する。また、中小零細企業の中には、自社の二酸化炭素(CO2)排出量が把握できていないところが多いという。算定方法や削減目標をどう見極めるかといったきめ細かい支援が欠かせない。
 特別委新設の方針が固まって以降、加盟を希望する企業が多かったという。世界的潮流から考えると、各社の関心の高さは当然だ。沼津の行政と経済界が率先したが、地元だけの挑戦に終わらせず将来的には県東部・伊豆全体で臨む流れをつくるなど指導力を発揮してほしい。

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