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テーマ : 沼津市

ふるさと納税寄付額 2年で4倍 沼津市好調、返礼品開発が奏功

 沼津市のふるさと納税寄付額が急伸している。2年連続で前年度の約2倍となり、2022年度は初の20億円超えが見込まれ、過去最高を更新する勢い。市が委託する中間事業者と連携して新規返礼品の開発に取り組んでいるのが奏功し、新型コロナウイルス禍で売り上げ減に悩む事業者の新たな“収入源”となっている。

新たな返礼品の甘夏について相談する相磯宣子さん(右)と須永野乃さん=2月中旬、沼津市西浦木負
新たな返礼品の甘夏について相談する相磯宣子さん(右)と須永野乃さん=2月中旬、沼津市西浦木負
沼津市のふるさと納税 寄付額と経費額
沼津市のふるさと納税 寄付額と経費額
新たな返礼品の甘夏について相談する相磯宣子さん(右)と須永野乃さん=2月中旬、沼津市西浦木負
沼津市のふるさと納税 寄付額と経費額


 ミカンの産地として知られる同市西浦地区。観光ミカン狩り園「木負観光みかん園」を営む相磯宣子さん(72)が、市のふるさと納税中間事業者「パンクチュアル」(本社・高知県須崎市)沼津営業所の須永野乃さん(22)を伴い、ミカン畑を訪れた。「これ、食べてみて」と差し出したのは甘夏。本数が少なく、これまで近所や知人に配るだけだったが、須永さんと相談し返礼品に決めた。
 同園はコロナ禍で、来園客はこれまでの10分の1に激減した。収入減に悩む中で昨年7月、須永さんから連絡を受け、返礼品事業者として登録。これまで約1トンのミカンやかんきつ類を返礼品として出した。相磯さんは「ある分だけ出荷でき、それ以上を求められない。厳しい中で収入になり、とても助かった」と感謝する。
 市は21年度から返礼品の受発注や開発などの業務をパンクチュアルに委託。同社は市と連携し、ふるさと納税サイトに掲載する写真やコメントを見直し、返礼品事業者も約120社から約200社まで増やした。20年度は4億9100万円だった寄付額が、21年度には11億7500万円に達し、22年度は21億円を超えるとされ、2年で4倍に膨らむ見通しだ。
 守時健社長は元須崎市職員でふるさと納税担当だった。「沼津に営業所を置き、事業者を何度も直接訪問できるのが他社との違い」と強調。「社員も住民票を沼津に置いている。地域の一員として業務に当たっていきたい」と意気込む。

経費やりくり悩む市町も
 ふるさと納税寄付額が好調な一方で、返礼品経費や手数料の支出など関連経費の増加も見られる。
 沼津市は2021年度、経費として5億3400万円を支出した。寄付額の4割を越える。市の担当者は「寄付額が増え、(固定費もある)経費の割合は減ってきている」と説明する。
 国はふるさと納税の返礼品は寄付額の3割、返礼品費含む経費は5割以内とするよう地方自治体に通達している。返礼品額が3割を上回ると、対象自治体から除外される。
 総務省の調査によると、21年度は静岡県内で掛川市、裾野市、松崎町、西伊豆町がいずれも寄付額の49%を経費として支出した。「23年度は一部の納税サイト手数料が値上げされ、経費額がさらに増えそう」(掛川市)、「災害救援として返礼品なしの寄付が増えた22年度は改善する見込みだが、23年度は見通せない」(松崎町)など経費のやりくりに頭を悩ませる。

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