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島田市、静岡空港核に活性化 周遊促す新たな交通模索【ウィズコロナを見据えて 志太榛原23年度予算案①】

 閉校した小学校を活用し2022年3月にオープンした島田市湯日の「グランピング&ポート結」では今後のインバウンド需要回復を見込み、急ピッチで予約管理などの多言語対応を進めている。課題の一つは静岡空港からのアクセス。運営するアイワコネクトの深沢一浩社長は「国際線の再開は大きな励み。今後は送迎も必要になる」と対応に追われる。

静岡空港周辺での新モビリティ導入実証実験に向け、電動バイクを試す島田市の職員=牧之原市内
静岡空港周辺での新モビリティ導入実証実験に向け、電動バイクを試す島田市の職員=牧之原市内

 同施設や20年開業の「KADODE OOIGAWA」など大井川流域の観光拠点整備が進む同市は新年度、長年の懸案だった静岡空港からの2次交通充実に向けた事業に本腰を入れる。目玉は新モビリティの導入実証実験で、当初予算案に750万円を計上した。電動のバイクやキックボード、電気自動車(EV)などを想定し、2月末には最高速度30キロで自転車との切り替えも可能な電動バイクの乗り心地を確かめた。市戦略推進課の中村広史課長は「茶畑の広大な景色も旅行者の目には新鮮に映る。移動そのものを楽しみと捉えてもらいたい」と語る。
 課題は観光客のニーズ把握だ。富士山静岡空港株式会社は空港利用者の市内への周遊を促そうと、新金谷駅までだったバス路線を22年から蓬莱橋まで延伸した。観光施設での乗降は現時点で月100人程度といい「市内への呼び込みはこれから」(市戦略推進課)との認識だ。市は本年度実施している空港からのレンタカーを使った市内周遊割引キャンペーンの利用者に市内外のどこを訪ねたか調査し、新交通の配置や選択に生かす方針。
 市の事業の一環で空港見学と市内周遊を組み合わせた2階建てバスツアーなどにも取り組んだ同社の青島弘昌さんは「市内の見どころは点在しているので情報発信が重要になる」と話す。グランピング施設の深沢社長は「アクセス網の充実に加え、島田だけでなく中部地域全体で広域的に誘客する体制づくりが必要」と指摘した。(中村綾子)
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 志太榛原地域の2023年度当初予算案が出そろった。新型コロナが収束に向かう中、市町が経済や地域社会の再興に向けて打ち出す施策を検証する。

 <メモ>静岡空港関連では新モビリティの実証実験に加え、空港の利用促進などを目的としたイベント費用200万円も新年度予算案に盛り込んだ。長年活用法が決まらなかった旧金谷中跡地についてはトレーラーハウスを活用した宿泊事業などが民間事業者から提案されたことを受け、25年度の開業に向けて事業用地の整備費補助として5000万円の債務負担行為を設定した。

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