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富士市の外国人支援 学校のルール案内 学びと生活、安心築いて【解説・主張しずおか】

 富士市が外国人の児童生徒と保護者の相談業務に力を入れている。小学校入学を控える親子への懇談会は15年にわたって実施し、日本の学校行事に不慣れな保護者の不安をすくい上げる場にもなっている。学習や進学に意欲を持つ子どもの思いに応え、日本での生活の安心感につなげたい。

小学校入学を控えた外国人の親子に学校生活のルールを説明した懇談会=2月下旬、富士市の交流プラザ
小学校入学を控えた外国人の親子に学校生活のルールを説明した懇談会=2月下旬、富士市の交流プラザ


 「地震で危ない時、この座布団をかぶると頭を守ってくれます」「アレルギーや宗教などで食べられない物があったら学校に相談して」-。
 2月下旬の懇談会は、外国人支援に取り組む市国際交流ラウンジ「FILS(フィス)」のボランティアが学校での決まりやルールを説明した。参加親子の国籍はインドネシア、ブラジルなどさまざまだ。
 中国人の女性(36)は昨年、日本に来たばかり。長女(6)は簡単な日本語が話せるようになったが、親がすべきサポートが分からない。入学式の基本的な準備について通訳を交えて質問し「自分が考えていたことが正しいかどうか、確認できて安心した」と話した。
 県内でも4番目に外国人が多い富士市は、1990年代からの南米日系人に加え、ベトナムやフィリピンからの技能実習生も増えている。市内には県西部地区と同様に児童生徒向けの外国人学校もあるが、市域全体での学習補助や相談対応には濃淡があるのが実情という。
 FILSではこのほか、年長児向けの平仮名教室などを開設。小学校では高学年になると、高校入学に向けた進学ガイダンスが案内される。学習面、経済面などさまざまな点で慌てることがないよう、早めの心積もりを促す。大人まで対象にした日本語教室もある。
 市が目を配るのは、学習支援にとどまらない親子関係のサポートだ。面談や進路相談への通訳派遣は、日本での就学経験のない親世代の不安解消を強く意識する。「親が日本語を理解できないからといって、子どもが都合の悪いことを言わなくなってしまう」(市担当者)ことは避けたい事態だ。
 一方で、日本語が話せない親の通訳などを子どもが担うなどヤングケアラーの負担は、県の実態調査でも指摘される。FILSが相談窓口として支援機関につなぐ役割を担うことは昨年の市議会でも報告された。親子の居場所を守るために、双方の視点に立った環境づくりを充実させたい。

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