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ファーイーストブルーイング(山梨県小菅村) 廃棄果実に新たな価値 年50種以上を限定発売【クラフトビール群雄割拠 静岡/山梨/長野/新潟⑥】

 静岡、山梨、長野、新潟4県の県紙がリレー形式で地元のクラフトビールを紹介する連載企画「クラフトビール群雄割拠」の第6回。山梨県内2カ所目は、小菅村の「ファーイーストブルーイング」。山梨日日新聞が取り上げる。

酵母を培養するタンクを調整するブルワーの武田アレクサンダー夏樹さん=山梨県小菅村
酵母を培養するタンクを調整するブルワーの武田アレクサンダー夏樹さん=山梨県小菅村
社名の由来や製造工程を説明する山田司朗社長=山梨県小菅村
社名の由来や製造工程を説明する山田司朗社長=山梨県小菅村
山梨県産桃を使った「ピーチヘイズ」(右)。県産品を使ったビールでは「グレープバイン」「ファーム トゥー ブリュー」「もりともり」もある
山梨県産桃を使った「ピーチヘイズ」(右)。県産品を使ったビールでは「グレープバイン」「ファーム トゥー ブリュー」「もりともり」もある
酵母を培養するタンクを調整するブルワーの武田アレクサンダー夏樹さん=山梨県小菅村
社名の由来や製造工程を説明する山田司朗社長=山梨県小菅村
山梨県産桃を使った「ピーチヘイズ」(右)。県産品を使ったビールでは「グレープバイン」「ファーム トゥー ブリュー」「もりともり」もある


 中央自動車道大月インターチェンジから車で約30分。山を隔てて東京と隣接する小菅村に、ファーイーストブルーイングの自社醸造場「源流醸造所」がある。1月下旬、この日は定番銘柄「東京ブロンド」の仕込みの日。ブルワーの武田アレクサンダー夏樹さん(28)が、タンクにホップを投入した後、酵母を培養する準備に汗を流していた。
 同社は2011年に東京・渋谷区で創業。水や空気がきれいな場所を探し求めて17年、同村に自社醸造場を開設。20年に本社を移転した。社名は欧州から見た日本周辺の地域を指す「Far East(極東)」と、ビールづくりに欠かせない「Yeast(酵母)」をかけた。山田司朗社長(47)は「ビールの本場欧州からは軽くみられがちな日本から、面白いビールを発信しようという思いを込めた」と語る。
 最初に世に送り出したのは、日本食に合うビール。12年、「和の食卓に映えるビール」をコンセプトに、さんしょうとユズを使った「馨和[かぐあ]KAGUA」を発表した。今では国内の有名日本料理店をはじめ、海外27カ国の日本食レストランなどで飲まれる代表銘柄に成長した。
 ワイン生産量日本一の山梨は、醸造用ブドウの栽培も盛ん。21年から地元ワイナリーと連携し、醸造用ブドウの栽培過程で間引きされる果実を使ったブドウのビール「グレープバイン」を商品化した。これまで廃棄されていた果実に新たな価値をつけて再活用するアップサイクルで、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みに位置づけている。
 定番商品のほか、年間50種類以上の限定ビールを発売。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で飲食店向けの出荷が大きく落ち込んだが、缶ビールの製造量を増やすなどして、新たな販路拡大にも積極的に取り組んできた。
 「国籍に関係なく楽しめるビールは『国際言語』。目標は日本を代表するクラフトブルワリーになること」と語る山田社長。山梨の地で挑戦を続ける覚悟だ。
 (山梨日日新聞社)

 この1杯 地元農産物とコラボ
 「ピーチヘイズ」
 2020年から「山梨応援プロジェクト」と銘打ち、地元の農産物とコラボした商品開発に取り組んでいる。中でも生産量日本一を誇る山梨県産の桃を使ったビール「ピーチヘイズ」は3年連続で増産しても注文に応えきれないほどの人気銘柄に成長した。このほかプロジェクトからは県産ブドウを使った「グレープバイン」、県産ホップを使った「ファーム トゥー ブリュー」、県産米を使った「もりともり」も生まれた。
           ◇
 ファーイーストブルーイング 2011年、東京都渋谷区で創業。17年、小菅村に自社醸造場を開設。20年に本社を移転。山梨県小菅村4341の1。電話050(3135)3926。
 

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