あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 政治しずおか

膨らむ財政規模 公債費増に注視必要【検証 沼津市予算案㊤】

 「市制100周年の節目に新たなスタートとなる予算を編成した」。頼重秀一市長は1日、2023年度予算案の発表記者会見でこう強調した。一般会計は2年連続で過去最高を更新し800億9千万円となり、JR沼津駅付近の鉄道高架化を含む駅周辺整備事業に33億7千万円を計上した。市長の言葉には昨年、新貨物ターミナルの着工や、駅周辺の土地区画整理事業が本格化し、事業が軌道に乗った安堵(あんど)感もにじむ。

再開発の計画が進む旧マルサン書店(左)。沼津市は中心市街地の民間再開発を支援する予算を計上する=同市大手町の沼津仲見世商店街
再開発の計画が進む旧マルサン書店(左)。沼津市は中心市街地の民間再開発を支援する予算を計上する=同市大手町の沼津仲見世商店街

 高架化事業の進展に呼応し、民間の中心市街地再開発への動きも活発化している。駅南口のアーケード名店街の一部区画では、27年に店舗や住居が入る新たな建物が完成する予定。沼津仲見世商店街に面した旧マルサン書店仲見世店のある街区でも再開発計画が進む。市内の不動産業者は「様子を見ていたデベロッパーが、高架化が軌道に乗ったことで動き出した」と見る。市も予算計上し、民間開発を支援する。
 市は鉄道高架化関連事業以外にも、ごみの中間処理施設建設などの大型事業を控える。予算案と併せて発表した22年度から51年度までの30年間の長期財政に関する試算では、今後も財政規模は拡大し、ピークの28年度には一般会計の歳出は938億円(決算ベース)にまで膨らむ。
 大規模事業の財源には市債が多く充てられ、市債残高は最大で1069億円にまで伸びると予測する。償還(返済)のピークを迎える42年度は、収入に対する借金返済の割合(実質公債費比率)は14%台に達する見込みだ。17年の同様の試算に比べ、ピーク時で5ポイントも増え、予算の1割以上が借金の返済に充てられる。
 同市の財政を調査研究する立命館大の森裕之教授は実質公債費比率の高さに注目。「財政が厳しくなっても公債費は削りにくい。削りやすい市民サービスなどの予算を減らすことも考えられる」と危惧する。その上で「財政が悪化した際、どの予算を削減することを許容するか、市民も考える必要がある」と指摘する。
    ◇ 
 7月1日に市制100周年を迎える沼津市。2023年度当初予算案は「動き出す 創り出す」をテーマに、大型事業に投資する積極型予算を編成した。年々規模が拡大する予算の今後や、次の100年を担う次世代育成について探った。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

政治しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む