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社説(2月5日)浜松市議会の定数 区再編機に削減議論を

 統一地方選まで2カ月を切った。4月9日投開票の浜松市議選は、現行の7選挙区で実施するのは今回が最後になる。来年1月1日に予定する7区から3区への行政区再編に伴い、4年後は新しい行政区単位の3選挙区で行うためだ。この機に、議員定数の削減をはじめ、議会改革の議論を深めてほしい。
 浜松市議会の議員定数は人口79万人に対して46人で、人口69万人の静岡市より2人少ない。全国の政令市では相模原、岡山市と並び最少水準だ。
 2005年の12市町村合併前、市町村議の合計は216人だったが、合併に伴って65人に削減し、その後も段階的に減らした。他都市との比較や削減の経緯を踏まえ、市議の中には定数の維持や増員を求める声もある。
 だが、現在の定数を決めたのは10年だ。それ以降、人口は減少し、少子高齢化は進んでいる。将来に向けて税収の先細りが予想される中、行政効率を改善し、持続可能な社会基盤を築いて次世代につなげる目的で、市と議会は行政区再編を決断した。
 行革の流れを考えれば、議会ももう一段、身を削る努力を示すべきだ。議員報酬や期末手当、政務活動費は年間1250万円に上る。情報通信技術(ICT)を効果的に活用するなどして、市政のチェックと市民への説明という責務を果たす姿勢が求められる。
 全体の定数に加え、3区への配分も課題といえる。合併前の浜松市域を中心とする「中央区」の人口61万2千人に対し、北区と浜北区を合わせる「浜名区」は15万7千人、「天竜区」は2万6千人と規模が異なる。重要なのは、天竜区の特別な位置付けだろう。
 中山間地の天竜区は道路インフラや医療体制が脆弱[ぜいじゃく]で、高齢化率は45%を超える。一方、面積の7割強を占める森林が水源涵養[かんよう]や地球温暖化対策の役割を担うほか、有形無形の文化財を継承する。行政区再編では、生活課題や地域特性を区民だけでなく、市民と行政が一体となって考えるべきとの判断から、単独で残すことになった。
 公選法は各区の定数について人口を基準に、地域間の均衡を考慮して定めることができると規定する。議員定数1人当たりの人口に格差が生じても、天竜区(現行は定数3)には引き続き一定の考慮が必要ではないか。
 定数などの議論はこれまで、市議会の会派代表らでつくる議会改革検討会議が進めてきたが、非公開だった。市民全体に関わるテーマであり、「議員のお手盛り」との誤解を招かないためにも、会議の公開や外部人材の導入などで透明性を高めることが不可欠だ。

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