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川勝知事との距離、議席注目 静岡県議選告示まで2カ月 「51」巡り水面下で攻防

 静岡県議選(定数68)は3月31日の告示まで2カ月を切り、県議会各会派の立候補者擁立作業が終盤を迎えている。川勝平太知事と衝突を繰り返した最大会派自民改革会議などが知事不信任決議案可決に必要な「51議席」に近づけるか、知事と協調する第2会派ふじのくに県民クラブなどがそれを阻止できるかが注目される。ただ、自民は議席増につながらない“同士打ち”が複数の選挙区で見込まれ、51議席に到達するかは微妙な情勢で、水面下の攻防が続く。

静岡県議会の会派構成(数字は人数)
静岡県議会の会派構成(数字は人数)

 県議会は2021年、川勝知事の失言をきっかけに県政初の辞職勧告決議案を可決した。4月の改選では法的拘束力のある不信任決議案の可決要件「出席議員の4分の3(51議席)」を巡り、主要会派が角を突き合わせることになる。
 自民は現職に所属議員が1人しかいない静岡市清水区(定数4)で2人目を擁立。ふじのくに所属の現職がいる函南町(同1)に新人を立て、一騎打ちの構図を作る。自民の提案で誕生した単独区の長泉町(同1)も立候補予定者が決まった。
 公認、推薦は支部レベルも含めると出馬予定者は45人を数え、共同歩調を取る公明党県議団5人や自民に近い無所属候補者らの当選を見込むと、51議席は圏内に入る。
 一方で、ふじのくにの現職がいる湖西市(同1)で擁立を見送ったほか、御殿場市・小山町(同2)、菊川市(同1)、焼津市(同2)で複数の自民系候補者による保守対決が予想され、議席数の伸びしろは大きく見込めない。県連幹部は「議席数を目標に掲げて対立をあおることはしない」と慎重な姿勢を崩さない。別の県議は「51議席を取れば知事へのけん制になる。ただ、寝た子を起こすのは得策ではない」と知事への警戒心ものぞく。
 現在17人が在籍するふじのくには、現有議席の維持が最重要課題。引退議員3人と欠員1に対し、後継の新人候補は3人にとどまり、現職14人を含めた全員当選しなければ維持が難しい状況にある。他会派や無所属の候補予定者と協調できるかは、当選後の連携次第となる。
 ふじのくに会派所属議員が昨年発足させた地域政党「新政しずおか」は、会派の現職がいない2人区を重点に公募を実施したが、東部の2選挙区を残し、擁立は難しくなった。会派幹部は「予想外に難航している。現有17議席を死守するしかない」と話す。
 川勝知事に対抗する勢力が51議席を上回った場合、県政運営に大きな影響が出るのは必至だ。日本維新の会や無所属の新人候補など知事との距離感が不明な出馬予定者も多く、選挙後に主要会派の多数派工作が激化する可能性も残す。

 86人出馬予定 選挙区、1増の34
 4月9日投開票の県議選(定数68)に向けて31日時点で86人が立候補を予定している。内訳は現職59人、新人24人、元職3人。このほかにも出馬を模索する動きがあり、3月31日の告示までにさらに増える可能性がある。
 選挙区は前回の2019年県議選より1増の34選挙区。沼津市選挙区の定数を4から3に減らし、定数1の清水町・長泉町選挙区を清水町1、長泉町1とする。

 <メモ>知事不信任決議は地方自治法に基づき、議員の3分の2が出席し「出席議員の4分の3以上」の賛成で可決する。可決された場合、知事は10日以内に議会を解散しなければ失職する。2021年には10月の参院静岡選挙区補欠選挙での川勝平太知事のいわゆる「コシヒカリ発言」に端を発し、県議会最大会派自民改革会議が提出を検討したが、他会派の切り崩しが不調に終わって断念。「出席議員の過半数」の賛成を要件とする辞職勧告決議案を提出し、県政史上初となる辞職勧告決議が可決された。

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