伊藤美誠・早田ひな組 史上最多5連覇 25連勝「最強ペア」 卓球全日本選手権女子ダブルス
卓球の全日本選手権第6日は28日、東京体育館で男女のシングルス準々決勝、ダブルスの準決勝、決勝を行い、女子ダブルス決勝で伊藤美誠(スターツ、磐田市出身)・早田ひな(日本生命)組が3-0で成本綾海・井絢乃(中国電力)組を下し、史上最多の5連覇を達成した。
女子シングルスの平野美宇(木下グループ、沼津市出身)は0-4で早田にストレート負けし4強入りを逃した。鈴木李茄(トップおとめピンポンズ名古屋、静岡市出身)も木原美悠(エリートアカデミー)に敗れたが、自己最高タイのベスト8。
同級生支えで輝き再び
未踏の金字塔を打ち立て、名実ともに「日本最強ペア」の称号を手にした。伊藤・早田組が女子ダブルスで単独最多の5連覇。2018年の初出場から負けなしの25連勝に、伊藤は「とっさに組んでも、いつも練習しているよう。ミックス(混合)で男子選手と組んだ時を含めても一番強い」と断言した。
最高の相棒に支えられ、伊藤が輝きを取り戻した。王手をかけて迎えた第3ゲーム。3-6から巧みなサーブレシーブや台上プレーを連発した。「(早田が)自分の良さを引き出してくれる」。9-8と逆転し、最後は絶好調時のような逆チキータのリターンエースと高速スマッシュ。今大会、どうにも決まらなかった強打をたたき込み「あれが入るんだ」と目を丸くした。
互いに崩しもフィニッシュも変幻自在。「昨年は強気に攻められると戦術が限られ、苦しんで乗り切っていた。でも、今は攻められることも前提にプレーできる幅がある」(早田)と、組むたびに進化を感じている。
いつも笑顔が絶えない22歳の同級生。伊藤が「(不調の)シングルスも一緒にプレーしているようにできればいいのに」と冗談めかせば、早田は「美誠に卓球を続けさせるために引っ張り出すかも。10連覇くらいしたい」と笑わせるなど絶大な信頼関係で結ばれる。ペアの最終目標は世界選手権の金メダル。ここは通過点に過ぎない。(運動部・山本一真)
「磐田市民の誇り」市長祝福
伊藤美誠選手のダブルス優勝と大会史上初の5連覇達成を受け、磐田市の草地博昭市長は「本市出身の伊藤選手が連覇記録を自ら更新されたことを、磐田市民として誇らしく思う。次のオリンピックに向けて、ますます活躍されますように、スポーツのまち磐田からエールを送り続けたい」とコメントした。
女子シングルス 28歳の鈴木 自己最高8強
新鋭の台頭が目立つ女子シングルスで28歳の鈴木が自己最高タイのベスト8に入った。
静岡市出身。中学時代にエリートアカデミー1期生となり2009年女子ダブルスは史上初の中学生ペアでメダル(3位)獲得。前回大会は混合ダブルスで準優勝している。
準々決勝は世界ユース覇者でエリートアカデミーの後輩、木原に屈したが第2、3ゲームは意地の競り合い。ベテランがノーシードから7試合を戦い抜き存在感を見せた。
平野は早田に打ち負け
0-4のスコアほど試合内容に差はなかった。女子シングルスの平野は再三の好プレーで、パリ五輪の代表争いをリードする早田に食らい付いた。だが、渾身(こんしん)の強打がさらに強烈に返ってくる。互いに得意とするラリーで真っ向からねじ伏せられた。
昨年11月の第3回代表選考会で早田に勝った決勝の再現を狙ったが、「決めきるか、サーブからの3球目で先手を取るか。中途半端になった」。第2ゲームは9-10から攻撃的レシーブ「チキータ」で先手を取ったが決めきれない。第4ゲームも5-1から追い付かれ、最後はフォアの打ち合いに押し負けた。
右足甲を痛め、シングルスに専念した今大会。5年ぶり8強は「最低限のライン。もっと上に行きたかった」と話すが、一時期の不調は脱した。2年にわたる五輪代表レースはいよいよ後半戦。「今回戦った相手はこれから何度も対戦する。どの選手にも勝てるように進化したい」と勝負の1年に挑む。