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フードロス&自治会役員不足同時に解決!? 富士、夕方のパン屋で社会実験 「感謝価格」に膨らむ役得感

 社会問題の「食品ロス」と地域課題の自治会役員の担い手不足を同時解決できないか-。そんな取り組みが富士市の吉原、伝法地区で1月から始まった。夕方閉店前のパン屋の商品を役員限定で割り引く社会実験「まちぐるMe(み)」。捨てざるを得ないパンの量を減らすとともに、自治会役員の担い手たちの「役得感」を高める狙いだ。

残っている商品の情報を発信するオープンチャットの様子
残っている商品の情報を発信するオープンチャットの様子
チャット画面を提示して値引きを受ける待つ実験参加者=9日、富士市の自由なパン屋わらっく
チャット画面を提示して値引きを受ける待つ実験参加者=9日、富士市の自由なパン屋わらっく
残っている商品の情報を発信するオープンチャットの様子
チャット画面を提示して値引きを受ける待つ実験参加者=9日、富士市の自由なパン屋わらっく

 実験には両地区のまちづくり協議会の一部役員39人と、「自由なパン屋わらっく」(伝法地区)「パン・ド・カフー」(吉原地区)が参加した。閉店の数時間前に売れ残りそうな商品を無料通信アプリ「LINE」のオープンチャット機能で報告。店員に当該の画面を見せると、最大半額の値引きなどの恩恵が受けられる仕組みをつくった。
 何度も店に通い、食パン8斤を値引き価格で買った日もあるという伝法地区の役員志田敦子さん(63)は「家族や友達からも購入を頼まれる。お得でありがたい。役員で良かった」と満足げだ。
 両店はこだわりの詰まった商品を特売することに抵抗を感じるものの、まちに無償で貢献する人たちへの“感謝価格”として協力した。パンは賞味期限が短く、売れ残りは店員が持ち帰っていた。売り上げにより、製造経費も一部回収できる。
 わらっくの五十嵐久美子さん(32)は「実験を機に味が広まってお客が増えれば」と宣伝効果も期待する。一方、固めの食感のパンが人気というカフーの荻野絵莉花さん(39)は「好みが分かれるので、役員世代に限らない取り組みにしたい」と改善案を考える。
 実験はコミュニティーFM「ラジオエフ」の佐野智恵子さん(47)が企画した。番組内で自治会役員の担い手不足を嘆く声を聞き、意識していた食品廃棄物の削減と結び付けて考案した。実験は市の補助金を受けて3月末まで実施する予定で、佐野さんは「役員の担い手候補が増えて食品ロスが減る活気あふれる富士市にしたい」と意気込む。

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