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工場アトリエに大作 沼津に移住4年、画家の北見さん 絵画教室で地域交流も

 沼津市の油絵画家北見美佳さん(36)が、地元住民の厚意で借りた市内の工場で、販売規格の最大サイズとなる縦3メートル超のキャンバスで制作に取り組んでいる。約1年半前に“オープン”した「工場アトリエ」では絵画教室も開かれるなど、今では住民が芸術に親しむ拠点に。「描くことは生きること」。北見さんは自身の表現を追究しながら、地域との交歓を重ねている。

制作中の500号のキャンバスを見つめる北見美佳さん(右)と工場所有者の男性=2022年12月下旬、沼津市内
制作中の500号のキャンバスを見つめる北見美佳さん(右)と工場所有者の男性=2022年12月下旬、沼津市内

 北見さんは松崎町出身で、伊東市にアトリエを開いた野獣派(フォービズム)の画家山川茂さんの最後の内弟子。2018年、千葉県から沼津市に移住した。主に自宅で制作に励んできたが、広さが限られることで表現にも制限がかかっているのでは、と不安に感じていたという。
 知人の紹介で工場所有者の男性(54)と出会い、空きスペースを借りることに。約150坪で天井までの高さは約8メートルと、遠慮なく筆を振るうことができる。絵画の制作には大きさや汚れ、音など留意する点が多数あり、自由に表現できる創作場所の確保は多くのアーティストの悩みだという。
 北見さんは「工場の雰囲気にも創作意欲がかきたてられる。アトリエにぴったり」と話す。
 工場所有者の男性は、北見さんの人柄や絵への情熱から貸し出すことを決めたという。絵画が身近になったことから自身も油絵に関心を持ち、友人を誘い月に一度、北見さんを講師に迎えた絵画教室を主催するようになった。「みんな没頭して制作している。ストレス発散や楽しみになった」とほほ笑む。
 北見さんはかねてチャレンジしてみたいと思っていた500号(縦約3メートル、横約2・5メートル)のキャンバスを2枚合わせた大作に取り組み始めた。「(男性や支えてくれる人に)恩返しをしたい。完成したら画家人生のターニングポイントになる」と意気込む。

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