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静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長/加藤賢二氏 高価値化へ転換不可欠【難局に挑む 新年トップインタビュー⑧】

加藤賢二理事長
加藤賢二理事長

 ―2023年の観光業をどう見通すか。
 「新型コロナウイルスの影響を大きく受けた観光業だが、22年以降は手探りながらウィズコロナの付き合い方が見えてきた。国内客を中心に22年10月はコロナ禍前の9割まで回復。静岡空港の国際線再開も決まり、インバウンド(訪日客)の増加が期待できる。インバウンドもコロナ禍前のような団体旅行から小グループへの転換が見られ、受け入れ態勢の再構築を急がなければいけない」
 ―国内需要のつなぎ止めやインバウンド受け入れに何が必要か。
 「価格競争ではなく、高付加価値、高品質のおもてなしを提供する形態に転換する契機としたい。コロナ対応の国の補助を受け、高付加価値化に向けた客室改修などに取り組んだ事業者もある。一方で、質の高いおもてなしにはハードだけでなくソフトの力が不可欠。宿泊業は人手不足が恒常的になっているが、快適な労働環境を整え、質の高い接客ができる従業員の確保につなげたい」
 ―最近の円安基調は、インバウンド受け入れに追い風と考えられるが。
 「最も円安に振れた時期は受け入れ緩和直後で、その恩恵は十分には受けられなかった。さらに、円安やロシアのウクライナ侵攻による電気代、燃料費などの高騰は経営を直撃している。数カ月前から予約が入る宿泊業は、急激な高騰に価格転嫁などの対応も難しかった。一方で円安による海外旅行の割高感で、国内旅行の需要は引き続き一定程度、保たれると見ている」
 ―国による全国旅行支援の延長が決まった。影響は。
 「継続的な旅行支援は大変ありがたい。一方で『Go Toトラベル』と異なり、都道府県ごとに制度が違うため、利用者に混乱を与えている。チェックイン時の確認や仕組みの説明に時間を要し、本来の業務に人手を割けないケースも出ている。利用者が分かりやすく、不公平感のない制度にしてほしい」

 かとう・けんじ 1977年、小松観光(西伊豆町)に入社し、97年から社長。2021年から現職。栃木県出身。71歳。

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