あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 選挙しずおか

災害対応の非難直撃 田辺氏、出馬に意欲もかなわず【急転 静岡市長選㊤】

 2023年春の静岡市長選を巡り、現職田辺信宏氏(61)の態度表明が注目された2日の市議会11月定例会代表質問。「リーダーとして引き続きかじ取りし、世界に輝く静岡の実現に向けて取り組む」。数日前に用意された市長答弁案には4選出馬の意欲がにじんでいたが、実際の答弁は正反対の「不出馬」だった。

静岡市長選への不出馬表明後、取材に応じる田辺信宏市長(左)=2日正午ごろ、市役所静岡庁舎
静岡市長選への不出馬表明後、取材に応じる田辺信宏市長(左)=2日正午ごろ、市役所静岡庁舎

 7月に4選出馬の意向を明らかにして以降「出馬意欲はある。しかるべきタイミングで表明する」が決まり文句となった田辺氏。慣例に倣い、市長選の態度表明は前年の市議会11月定例会の代表質問を予定していた。ところが、9月の台風15号による記録的豪雨が想定を狂わせた。
 1974年の七夕豪雨以来とされる未曽有の災害となり、清水区では最大13日間の大規模断水が発生。桜ケ丘病院の移転問題や清水庁舎整備などでくすぶっていた現職批判が爆発した。選挙戦に向けて30年来の支援者を回ると、「出馬をやめた方がいい」との進言が少なからず寄せられた。4選出馬にためらいが生じた一方で、11月上旬、自民党静岡市静岡支部は田辺氏支援を決めた。
 山田誠(60)、難波喬司(66)の対抗馬2氏の出馬表明、地元経済人の一部による対抗馬支持の公言など、選挙戦を巡る動きが活発になる中で、田辺氏は出馬を「ぎりぎりまで悩む」と周囲に語った。
 田辺氏は市議、県議を経て、東日本大震災から間もない2011年4月の静岡市長選で初当選した。選挙公約の発表時「先行き不透明な社会への不安に、震災が追い打ちをかけている。不安を安心に変えたい」と語った。今回、4選不出馬の理由に台風15号の災害対応を挙げて「多くの市民生活に支障を来し、大変ご迷惑をかけた」と陣頭指揮の不手際をわびた。
 自民党市議団の1人は「初心を思い出し、大きな責任を感じたのだろう」と田辺氏の心境を代弁する。最上位計画の第4次市総合計画の策定作業が進み、市長就任時からの公約だったプロ野球の地元球団構想が現実味を帯びつつある。「まさにこれからという時。未練があるに違いない」と推し量った。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

選挙しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む