あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 裁判しずおか

無免許運転で事故、身代わり依頼に実刑判決 静岡地裁浜松支部

 浜松市南区で7月、乗用車を無免許運転して歩行者の女性(58)をはねた上、同乗者の知人女性に身代わりを依頼したとして、自動車運転処罰法違反(無免許過失傷害)と犯人隠避教唆の罪に問われた同市中区、飲食店店員の男(24)の判決公判で、静岡地裁浜松支部は8日、懲役2年8月(求刑懲役3年6月)の実刑判決を言い渡した。

被告からの謝罪文を読む被害女性の夫=6日午前、浜松市内(画像の一部を加工しています)
被告からの謝罪文を読む被害女性の夫=6日午前、浜松市内(画像の一部を加工しています)

 高島由美子裁判官は「意識が戻らない被害女性の無念は大きい。刑事責任は重大」と実刑の理由を述べた。一方、罪を認め、被害者側に賠償する意向を示している点などを量刑に考慮した。
 判決によると、被告は7月17日、同市南区の市道で乗用車を無免許運転し、前方を歩いていた女性をはねて意識障害を伴う右急性硬膜下血腫を負わせた上、同乗者の知人女性に身代わりを頼んだ。

事故車は任意保険未加入、被害者側負担重く

 浜松市内で歩行者の女性(58)をはねたなどとして、実刑判決を言い渡された男(24)が事故時に無免許運転した乗用車は任意自動車保険に未加入だった。無保険車の事故は相手方に大きな経済的負担を与えかねない。意識不明の状態が続く被害女性の夫(58)は「被害者が十分な補償を受けられないとしたら、運が悪かったでは済まない」と憤り、無保険車がなくなる社会を願う。
 公判によると、被告は知人の車を借りて事故を起こした。車は加入義務のある自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)に入っていたが、任意保険は未加入だった。
 被告は被害者側への謝罪文に「少しずつ必ず弁済する」とつづったが、夫は「本当にその覚悟があるのか」と語気を強めた。女性の入院費は月額約40万円に上り、回復見込みは不明。慰謝料や逸失利益を含めると、損害賠償額は自賠責保険の支払限度額の4千万円を上回る可能性がある。
 当面の入院費用などは、女性が加入していた任意保険の上限付き人身傷害保険を利用して充てている。夫は「被害者の保険で賄えば良いという話ではない。車の所有者や運転者は責任を自覚してほしい」と訴える。
 損害保険料率算出機構(東京都)によると、任意保険と自動車共済の県内の普及率は2021年3月時点で88・8%。

▶ 追っかけ通知メールを受信する

裁判しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む