⚽リカルド体制の岐路 策に不足感 シーズン終盤急失速【降格再び 清水来季J2へ㊥】
5月末に監督交代を決断したJ1清水は後任として、ブラジル2部のクラブを直前まで率いていたリカルド氏に白羽の矢を立てた。合わせて3人のブラジル人コーチ・スタッフも加入し、首脳陣を刷新。一からのチームづくりが始まった。

夏場になると結果は出始めた。7月末の鳥栖戦から5試合負けなし。鳥栖戦終了時の最下位から、一気に11位まで浮上した。消化試合数のばらつきはあったものの、J2自動降格圏との勝ち点差は7。残留争いから1桁順位への食い込みに目線を移せるところまで来ていた。
ところが、9月になると流れが変わった。自陣からボールを保持して主導権を握ろうとする戦いは、相手に対応され始めた。引き分けに終わった10日の湘南戦。先制に成功したものの、相手守備の圧力に押されて流れを引き寄せられず、シュート数は3対15と圧倒された。リカルド監督は1点をリードしていた前半終了間際から守備的な3バックに布陣変更したが、消極的な姿勢に選手から戸惑いの声が漏れた。
試合に応じて準備した自分たちの形はある程度表現できても、相手の適応にさらに対抗する手段が不足する。ある選手は「対策された時にどうてこ入れするのかなと思っていたが…。それ以上に何か準備しないといけないんじゃないか」と不安を口にした。
最終節の札幌戦に向けた練習では、これまで本格的に着手していなかった3バックでの戦いを準備した。最終的には継続してきた4バックを選んだが、指揮官の迷いも見え隠れした。リードを守り切れない課題は最後まで改善できず、7試合勝ちなしと急失速して残留を逃した。
リカルド監督を招聘(しょうへい)した大熊清ゼネラルマネジャー(GM)は「内容は良くなってきたが、結果が足りなかった。夏場の(勝ち点を)取り返してくれたところを前提に検証する」と高い評価が先行する。続投か、交代か。その判断がクラブの現状認識を示すことになる。