あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 清水エスパルス

⚽クラブと現場 目線にずれ 監督交代で継続性否定【降格再び 清水エスパルス 来季J2へ㊤】

 J1清水の今年1月の新体制会見。就任3年目の山室晋也社長は今季のスローガン「HERE GOES(さあいこう)」のお披露目とともに、目標に掲げたタイトル獲得へ自信を示した。「チームとしてようやく整ってきた。完成度、総合力は確実に積み上がってきた」

新体制会見に臨む大熊清ゼネラルマネジャー(中央左)と平岡宏章監督(同右)。クラブと現場の目線は、スタートからずれていた=1月、IAIスタジアム日本平
新体制会見に臨む大熊清ゼネラルマネジャー(中央左)と平岡宏章監督(同右)。クラブと現場の目線は、スタートからずれていた=1月、IAIスタジアム日本平
新体制会見に臨む大熊清ゼネラルマネジャー(中央左)と平岡宏章監督(同右)。クラブと現場の目線は、スタートからずれていた=1月、IAIスタジアム日本平

 ところが、現場の捉え方は違った。チーム始動から数日後。平岡宏章監督(当時)は「結果は一番大事なことなのかもしれないが、土台づくりが自分の役目だと思っている」と明かした。
 振り返れば、近年は毎年のように残留争い。昨季も最終盤の監督交代からの巻き返しで、辛うじてJ1に生き残った。昨季まで2年連続でシーズン途中に指揮を引き継いでいた平岡氏は、チームの現在地を冷静に見つめていた。「さあいこう」は名門復活に向けた足場固め。そう考えていた現場と、短期的な結果にこだわるクラブの目線は明らかにずれていた。
 シーズン開幕前に得点源のFWチアゴサンタナら主力が故障し、平岡氏は選手の特徴を生かした戦いを模索。開幕2戦目で初勝利を挙げたが、その後8試合白星から遠ざかった。主力の復帰後も成績は安定せず、5月18日には主要タイトルの一つ、ルヴァン・カップの1次リーグ敗退も決まった。
 5月29日にリーグ戦で今季最多の3連敗を喫すると、クラブは平岡氏の監督交代を決断。大熊清ゼネラルマネジャー(GM)は、試合での修正能力や、リーグ戦わずか2勝にとどまった成績を主な理由とした。指揮官の手腕や直近の結果を挙げるその説明は、昨季、一昨季の監督解任時をなぞるようだった。
 新体制会見で、山室社長が述べた「チームが整ってきた」との発言には前置きがあった。「(過去)2年間、2人の優れた監督の下でチームを見てきた平岡監督によって…」。解任した2人の外国人監督の“遺産”を強調してきたクラブは、平岡氏の解任によって、昨季までの2年間の継続性も自ら否定することになった。
   ◇
 清水の2度目の2部(J2)降格が決まった。クラブ創設30周年の節目での再転落。背景を探った。

 

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

清水エスパルスの記事一覧

他の追っかけを読む