浜松にバイオマス発電所 食品廃棄物利用、国内最大級 藻類試作製造所も計画
廃棄物処理業「太洋サービス」(浜松市西区)が、食品廃棄物を原料にした国内最大規模のバイオマス発電所と、バイオ燃料の生産などに使われる微細藻類の試作製造事業所の整備をそれぞれ同区内で計画していることが4日までに、同社などへの取材で分かった。
発電所は「浜松バイオパワー(仮称)」で、生ごみなどを発酵させたメタンガスを発電利用する。同区坪井町の約4万平方メートルの同社工場跡地に建設し、2026年の稼働を目指す。23年にも造成工事に着手したい考え。
発電出力は2400キロワットで、年間の発電電力量は一般家庭約4千世帯分に相当する1900万キロワット時。食品工場などから出る生ごみなどを毎日200トン収集してメタンガスを取り出す。発酵で生じる消化液や残りかすは肥料や家畜用飼料のほか、微細藻類の培養に活用する。
「浜松藻類試作製造事業所(仮称)」は、同区篠原町の約4万9千平方メートルに事務所や研究所を整備し、23年以降に稼働させる。8~10年程度かけて拡張を図る。浜名湖沿いに位置し、淡水や海水を活用しやすく、藻類の成長に必要な日照時間が全国トップ級の立地特性を生かす。
微細藻類は脱炭素化につながるバイオ燃料の生産をはじめ、機能性食品や医薬品などへの活用が期待される一方、製造コストが事業参入の障壁になっている。東京大など19研究機関や民間26社でつくる「機能性バイオ共創コンソーシアム」に参画する同社は産総研や筑波大などと連携し、企業などから依頼を受けて有用な藻類の試作培養を進める。
設備投資額は明らかにしていない。鈴木裕司社長(46)は「食物連鎖の底辺に位置する藻類が効果的に活用できれば、農水畜産の生産性を向上でき、脱炭素可に貢献できる」と見据える。バイオマス発電などを通じて、将来的には食品メーカーなどとの取引拡大を視野に入れる。