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静岡県はいったい何地方?② 東日本/西日本の区分、企業によりけり どん兵衛は?/NTTは?【NEXT特捜隊】

 日本のほぼ中央部に位置する静岡県。「いったい何地方なの?」という疑問を受け、静岡県がどの区分に入るのか調べるシリーズ第2弾。今回は東日本や西日本といった定番区分と、その理由を取材した。【記事の末尾に音声配信〈聞こっとスペシャル〉へのリンクがあります】

どん兵衛では「東日本」


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和風カップ麺「どん兵衛」は赤色の地域には東日本向け、青色の地域には西日本向け商品が販売されている(緑色の北海道のみ別商品を展開)
 

 日本では歴史的に東西で味の違いがあるとして、日清食品は和風カップ麺「どん兵衛」を発売した1976年から、東日本と西日本でうどんとそばの商品のつゆの味を変えてきた。東海、甲信越以東は東日本向け、富山、石川、福井、滋賀、奈良、和歌山以西は西日本向けという区分(北海道のみ別商品を展開)。パッケージには小さく黒字で東日本向けは「(E)」、西日本向けは「(W)」と書かれている。静岡県は東のグループに入っている。
photo01 どん兵衛のパッケージ。左が西日本、右が東日本
 この東西の境界の理由とは。同社広報部は「開発当時、味覚についてのはっきりした文献がなかったため、開発担当者が新幹線のこだまに乗り、一駅ごとに駅や駅周辺のお店でうどんを片っ端から食べていきました。その結果、岐阜県関ケ原町付近に味の境界があることを突き止めました」と教えてくれた。新幹線駅の「岐阜羽島」(岐阜県)と「米原」(滋賀県)の間で大きく味が変化したため、東はカツオを基本味として濃い口に、西は昆布の割合を増やした淡口の味付けとしたという。


NTTでは「西日本」


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赤色はNTT東日本、青色はNTT西日本のサービス提供エリア
 

 東西の定番区分の一つ、NTT西日本と東日本の境界。大まかに富山・岐阜・静岡以西がNTT西日本、新潟、長野、山梨、神奈川以東がNTT東日本の営業エリアとなっている。
 そもそもこの区分となった理由は。静岡県をエリアに含むNTT西日本によると、1999年にNTTがNTT西日本とNTT東日本に分割される際、安定してサービスを提供できる財務状況を確保しつつ、競争を促せる規模として郵政省(当時)から答申が出され、現在の境界が決まったという。
 ただ、サービス提供エリアは通信ビル(通信局舎)の場所や地理的な条件などの理由で例外がある。そのため、静岡県内でも一部、NTT東日本のエリアとなっているケースがあるという。


周波数「ヘルツ」 富士川付近が東西境界


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富士川や糸魚川より東側の赤色は50ヘルツ、西側の青色は60ヘルツの地域(緑色は混在地域)
 

 1秒間に繰り返す電気の波の数「周波数(ヘルツ)」の違いにより、東西を区分する考え方もある。国内では、富士川と糸魚川(新潟県)周辺を境にしておおむね東側が50ヘルツ、西側には60ヘルツの電気が送られている。県内では東京電力と中部電力の境界の目安ともなっている。
 ところで東西で周波数が違うのはなぜか。中部電力によると、発電機が輸入された明治時代、関東にはドイツから50ヘルツの、関西にはアメリカから60ヘルツの発電機がそれぞれ輸入されたためだという。糸魚川・富士川周辺がヘルツの境目となった理由について、今回の取材では明確な理由は分からなかった。
 国内に2つの電力系統があるのは世界的にも珍しい。周波数は統一できないのか。学者や技術者でつくる法人「電気学会」のホームページによると、過去に何度か統一が検討されたものの、九州や東北など一部地域を除いて統一は進まなかったという。既存の設備の改修には長い時間を要する▽費用が莫大となる▽改修期間中の電力の安定供給も難しくなるーなど課題が山積したためだという。



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