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テーマ : 長泉町

頭頸部 幅広い年代で注意を【詳しく理解がん治療 静岡がんセンター公開講座㊤】

 「頭頸部(とうけいぶ)がんはあまり聞き慣れないがん。近年は若年層でも発症し得るがんが増えているので幅広い世代に注意してほしい」。県立静岡がんセンターの向川卓志頭頸部外科部長は、頭頸部がんの正しい理解を呼びかける。

頭頸部がんの診療機器を紹介する向川部長。喉や首に違和感が続く場合は受診をと呼びかける=長泉町の県立静岡がんセンター
頭頸部がんの診療機器を紹介する向川部長。喉や首に違和感が続く場合は受診をと呼びかける=長泉町の県立静岡がんセンター

 頭頸部がんは、脳より下から鎖骨までの範囲で、口やのど、甲状腺などにできるがんを総称する。舌がんや喉頭がんなど部位に生じた腫瘍によって名称がさらに細分化される。60~80代男性の発生が多く、原因は喫煙や過度の飲酒。日本頭頸部癌(がん)学会は禁煙や節酒を訴えている。
 国内の年間罹患(りかん)者数は約2万8千人、死者数は約9千人。中高年男性に多いとされるが、舌がんや中咽頭がんは男女問わず若年層でも発症することがある。向川部長によると、近年は口腔(こうくう)・咽頭がんの患者数は増加傾向にあり、ここ10年で罹患者数が1万人程度増加。背景には、子宮頸がんの原因として認知されているヒトパピローマウイルス(HPV)が関係する中咽頭がんの増加が要因として指摘されているという。
 頭頸部がんは、初期はほとんど自覚症状がない。のどの違和感や首のしこりが長期間続き、耳鼻咽喉科や口腔外科への受診で発見につながるケースが大半だが、新型コロナウイルス禍での受診控えで、がん発見の遅れも懸念されている。
 治療には嚥下(えんげ)機能や構音機能をいかに温存するかが重要になる。早期がんは、患者への負担が少ない低侵襲性手術が注目され、同センターは内視鏡下の手術を積極的に実施。本年、手術支援ロボット「ダヴィンチ」が頭頸部がんでも保険適用の拡大が認められ、同センターは県内で初めて同科でもダヴィンチ手術を導入予定だ。
 進行がんは、移植が必要な再建手術を行う場合もあり、頭頸部がんは他部署の外科医をはじめ、腫瘍内科医、放射線科医、看護師、栄養士、リハビリ士などとの連携も大切になる。向川部長は「頭頸部がんは集学的治療が求められる」とし、同センターの多職種チーム医療の重要性を強調する。
 本年度、開設20年を迎えた県立静岡がんセンター。がん医療がめざましい発展を遂げる中、センターも手術や放射線、抗がん剤などで最新治療を導入し、患者に寄り添ったケアに取り組んできた。8日に開講するセンターのオンライン公開講座(静岡新聞社・静岡放送主催)を前に、講師を務める医師にがん治療の最前線を取材した。

 8日からオンライン講座
 県立静岡がんセンターは8日から、公開講座「知りたい!聞きたい!がん医療」を開く。来年1月14日まで全7回をインターネットで動画を配信する。
 視聴無料、事前申し込み制。各回2~3部制で同センターの医師らが、がん医療の最新治療や最先端の研究を解説する。1回のみの受講も可能。問い合わせは平日午前9時~午後5時に静岡新聞社・静岡放送東部総局<電055(962)6520>へ。

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