準高地トレーニング 裾野市、合宿誘致に成果 大会新設、講習も
裾野市と関係団体でつくる市スポーツツーリズム推進協議会が、陸上競技を中心にスポーツ合宿誘致に力を入れている。標高1000~1500メートルの「準高地トレーニング」の環境を備え、首都圏から近いのが特徴。地元の陸上選手と指導者の育成につなげようと、合宿誘致と連動した大会開催や講習会も始めた。
「毎年9月に裾野市で合宿を行っている。練習環境に加え、忘れ物を取りに戻れるくらいチームの拠点から近いのが魅力」。実業団のコモディイイダ陸上部(東京)の会沢陽之介総監督(46)は冗談を交え、合宿地選定の理由を説明する。
駅伝シーズンに備え、今年も9月上旬に富士山麓の標高1450メートルの水ケ塚クロスカントリーコース(同市須山)などで走り込んだ。宿泊には同千メートルのペンションを利用し、暑さを避けながらチームを強化した。
2021年度にスポーツ合宿で同市を訪れたのは大学や実業団など35チーム。地域活性化に向け、協議会が本格的に誘致活動を始めた18年度の12チームの約3倍に増えた。22年度は41チームが合宿を計画する。
準高地は標高2千メートル超の高地に比べ、体への負荷が少なく心肺機能と脚力を鍛えることができる。同市には複数のクロスカントリーコースと、陸上競技場のトラック、勾配のあるロードなどがあり、多様な練習が可能だ。
市と市陸上競技協会は22年度、公認大会を二つ新設した。箱根駅伝常連校など市内で合宿したチームが出場して国内トップクラスの走りを披露するとともに、大会に参加した小中高生らを指導する。市は複数の五輪選手が所属し、市内で合宿する陸上クラブ「ツーラップス」(東京)と連携協定を結び、選手や指導者対象の講習会も始めた。
同協議会の鈴木啓久会長(71)は「競技人口拡大とレベル向上につなげ、大学や実業団で活躍する選手が増えてほしい」と期待する。今後はラグビーや野球、サッカーなど他競技の誘致も強化するという。