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テーマ : 牧之原市

政府緊急対策 バス安全装置の設置義務化が焦点 牧之原園児死亡

 牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」で園児(3)が送迎バス内に取り残され死亡した事件を受け、政府は10月中の緊急対策の取りまとめに向けて検討を進めている。置き去りを防ぐための安全装置の設置義務化が焦点だが、現場からは装置を設置することによって、むしろ職員の安全意識が低下することを懸念する声が上がる。

園児の置き去りを防ぐための安全装置が設置されたバスを視察する小倉将信子ども政策担当相=15日、内閣府
園児の置き去りを防ぐための安全装置が設置されたバスを視察する小倉将信子ども政策担当相=15日、内閣府

 「重要なのは、スピード感を持って安全装置を全国のバスに備え付けてもらうこと」。今月15日、小倉将信子ども政策担当相は安全装置を設置した送迎バスを内閣府で視察し、記者団に語った。
 装置は車内の後方部にボタンが取り付けられ、エンジン停止後、制限時間内に押さないと警報が鳴る仕組み。見落としやすい後部座席の確認を促すのが狙いだ。小倉氏は「シンプルで実効性の高い装置」と評価し、設置義務化に向けて財政措置を含めて検討する考えを示した。
 ただ、園を運営する職員は安全装置の導入ありきの対策への不安を口にする。東京都江戸川区の東一の江幼稚園では、牧之原の事件を受け、送迎バスの後方部に園児が降車したことなどを確認する点検表を設けた。田沢里喜園長は、職員が安全装置に依存して座席の下などの入念な確認を怠るようになることを懸念。「技術や機械はサポートしてくれるが、人が安全意識を高く持つことが一番ではないか」と視察で訪れた小倉氏に直接訴えた。
 静岡県内の現場からも職員による点検こそが不可欠という声が上がる。御殿場市の幼稚園の園長は「装置を付けたところでマンネリ化すると再発してしまう。結局は人間の意識の問題」と話す。静岡市葵区の幼稚園の園長も「何か対策をしなければならないと(国が)思うのは分かるが、職員がバスの中を最後まで確認するべき」と日頃の安全管理徹底の重要性を強調する。
 20日に内閣府で行われた関係府省の対策会議では、有識者の1人が安全装置の導入に賛成しつつも「複数の対策の一つとして捉え、人による危機管理が基本であることは変わらない」と言い添えた。政府は今後、有識者らの意見を参考に、安全装置の設置義務化や公的費用の負担といった対策について議論していく。小倉氏は会合後の会見で「義務化も含めてどのような安全装置が望ましいのか幅広く検討を進めたい」と述べた。

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