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特集 : 社説

社説(9月21日)東アジア文化都市 まずは県民への周知を

 日本、中国、韓国の3カ国が文化芸術活動を通じて相互理解を深める「東アジア文化都市」の事業で、文化庁は2023年の国内都市に静岡県を選んだ。中国の成都、梅州の両市、韓国の全州市と連携し、各種文化イベントを展開する。
 東アジア文化都市は11年の文化大臣会合で議長国日本が提案し、14年から毎年開催されている。初回の国内都市は横浜市。2回目以降は新潟市、奈良市、京都市などが選ばれた。今年から対象を県単位に広げ、大分県が中韓3都市と展覧会や音楽会など年間約130件の事業を展開している。
 来年は静岡県の名称をアジア各地に広め、観光、産業、教育など幅広い分野で国際交流の新たな礎を築く好機としたい。事業の成功には県民全体の関わりが欠かせない。事務局を務める県は早急に2カ国の各都市とコンセプトを擦り合わせ、県民に東アジア文化都市の意義や具体的な事業展開の方向性を分かりやすく説明してほしい。
 県や市町が主催する演劇、音楽、美術の大規模イベントだけでなく、地域の文化団体が積極的に参加できる仕組みを期待する。
 スタートまで3カ月余りと準備期間はわずかで、開会式をはじめとした本格的な事業展開は、各団体が事業計画を整えることができる4月以降の見通しだ。県は各団体の要望に耳を傾け、事業実施に必要な予算を柔軟に執行してほしい。大分県は各事業計画の中韓との交流状況に応じ、助成金を加算する方式という。先行事例の成果と課題を幅広く学ぶ必要がある。
 県民のアート活動を支援する組織「アーツカウンシルしずおか」は22年度、応募85団体のアートプロジェクトを32団体に絞り込んで助成している。中韓との交流を前提に文化事業を公募すれば、各地からユニークな応答があるはずだ。
 イベント開催期間中はアーティストの行き来や、青少年の相互訪問を積極的に行ってほしい。国境をまたいだ文化交流で顔の見える関係ができれば、日韓、日中の関係改善の一助になるだろう。過去に東アジア文化都市に選ばれた各都市とのネットワークづくりにも期待したい。
 今秋以降、新型コロナウイルス禍を受けた入国制限が緩和される見通しだ。静岡空港は開港以来、中韓との往来の活発化に貢献してきた。「東アジア文化都市」の肩書は、訪日客を再び本県に招き入れるツールとなるだろう。アジアにアピールできるプログラムづくりは、本県の文化の独自性と課題を検証する機会でもある。

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