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テーマ : 熱海市

熱海未来音楽祭プレイベント 音楽家・巻上公一さん×演劇批評家・鴻英良さん 起雲閣でアートの深淵語る

 音楽家巻上公一さん(熱海市)がプロデュースする即興音楽やパフォーミングアーツの祭典「第4回熱海未来音楽祭」のプレイベントが、同市の起雲閣で開かれた。23日の開幕を前に、巻上さんと演劇批評家鴻英良さん(旧舞阪町=現浜松市=出身)が、米国の劇作家リチャード・フォアマン、旧ソ連(現ウクライナ)生まれの現代美術家イリヤ・カバコフを題材に、アートの深淵[しんえん]をのぞくトークを繰り広げた。

米欧の芸術家とのエピソードを話す巻上公一さん(右)と鴻英良さん=熱海市の起雲閣
米欧の芸術家とのエピソードを話す巻上公一さん(右)と鴻英良さん=熱海市の起雲閣
鉄製打楽器「波紋音」を演奏する永田砂知子さん。荘厳な響きが会場を満たした
鉄製打楽器「波紋音」を演奏する永田砂知子さん。荘厳な響きが会場を満たした
息継ぎをほとんど感じさせないボイスパフォーマンスを披露した赤い日ル女さん
息継ぎをほとんど感じさせないボイスパフォーマンスを披露した赤い日ル女さん
米欧の芸術家とのエピソードを話す巻上公一さん(右)と鴻英良さん=熱海市の起雲閣
鉄製打楽器「波紋音」を演奏する永田砂知子さん。荘厳な響きが会場を満たした
息継ぎをほとんど感じさせないボイスパフォーマンスを披露した赤い日ル女さん

 1990年代前半に米ニューヨークで上演されたフォアマンの演劇「マインドキング」について、感想を述べ合った。鴻さんは教会の狭い部屋を劇場にした同作品について「演者のささやくようなせりふが部屋のあちこちから聞こえてくる。音に包まれ、異空間に行ったようだった」と記憶をたどった。
 後に同作品を日本に持ち込み、鴻さんの翻訳で上演した巻上さんは「客は中ぶらりんにされ、物語は途切れる。まばたきするたびに風景が変わることを意識させる演劇。これはやりたい、と思った」と回想した。
 巻上さんは、新潟県で開催中の「大地の芸術祭」を糸口に、出品作家のカバコフへと話題を広げた。同祭のイベントとして7月、カバコフの文章をヒントに歌を作り、自らが率いるバンド「ヒカシュー」で演奏したという。
 鴻さんは自身が翻訳した「イリヤ・カバコフ自伝」(2007年、みすず書房)を引きながら、カバコフの苦難をたどった。「モスクワで芸術活動をしていたが、1960~70年代は作品発表が非合法とされていた。ただ、政治的に抑圧された中で作られた芸術は、いろいろな文化につながっていてとても魅力的だった」と評価した。
 イベントの第2部では、鉄製の創作楽器「波紋音」を響かせる打楽器奏者永田砂知子さん、七色の声を操る赤い日ル女さん、テルミンを奏でる巻上さんの即興セッションも行った。
 
 熱海未来音楽祭は23~25日に熱海市内各所で開催。
 詳細は公式サイト(http://www.makigami.com/atamimirai.html)で。

 

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