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⚽清水サッカーの母 綾部さんが殿堂入り 女性初、都内で掲額式典

 日本サッカー協会は10日、東京都文京区の日本サッカーミュージアムで女性指導者の綾部美知枝さん(73)=静岡市清水区=ら日本サッカー殿堂入りした5人の掲額式典を行った。ほかの4人は、元日本代表MFの木村和司さん(64)、元日本代表監督の故イビチャ・オシムさん、長崎・国見高の元監督の故小嶺忠敏さん、南米サッカー界とのパイプをつくった故北山朝徳さん。女性初の殿堂入りを果たした綾部さんは多くのサッカー好きの子どもたちを育て、地域への普及にも力を注いだ。

日本サッカー殿堂の掲額式典で記念撮影する綾部美知枝さん(右から4人目)ら。同5人目は木村和司さん=10日、東京都文京区
日本サッカー殿堂の掲額式典で記念撮影する綾部美知枝さん(右から4人目)ら。同5人目は木村和司さん=10日、東京都文京区
記念プレートを手に日本サッカー協会の田嶋会長と並ぶ綾部さん(右)=10日、東京都文京区(同協会提供)
記念プレートを手に日本サッカー協会の田嶋会長と並ぶ綾部さん(右)=10日、東京都文京区(同協会提供)
日本サッカー殿堂の掲額式典で記念撮影する綾部美知枝さん(右から4人目)ら。同5人目は木村和司さん=10日、東京都文京区
記念プレートを手に日本サッカー協会の田嶋会長と並ぶ綾部さん(右)=10日、東京都文京区(同協会提供)

 「清水のまち、そして人との出会いに育まれた」。旧清水市出身の綾部さんは大学卒業後の1969年に教員となり、市内の小学校に赴任した。2年生を担当し、毎日のように児童とグラウンドに出ていると、「先生、サッカーやろうよ」と声をかけられた。今に続くサッカーとの深い関わりの始まりだった。
 一緒に楽しむうちに子どもたちのサッカー熱はどんどん高まっていった。「試合をしたい」「強くなりたい」-。背中を押されるように自ら少年団を編成し、県内の指導者を対象としたコーチングスクールにも男性に混じって参加した。
 71年からは旧清水市の小学生選抜「清水FC」の指導に当たった。清水を屈指のサッカーどころに育てた堀田哲爾氏(故人)からの指名だった。77年には監督として、チームを全日本少年サッカー大会の初代王者に導いた。
 94年にサッカーを通じたまちづくりを推進する市の役職に立場を移し、清水ナショナルトレーニングセンターの構想づくり、2002年ワールドカップ(W杯)日韓大会の事前キャンプ地誘致などに奔走した。日本サッカー協会では理事など要職を歴任。4種(少年)大会の11人制から8人制への移行、女子サッカーの普及などに取り組んだ。
 子どもから保護者、指導者…。サッカーに熱くなるたくさんの人とともに歩みを進めてきた。「ゆりかごから息が続くまでサッカーを楽しめるのが静岡。先人からのパスをつなげていきたい」と意欲は尽きない。

 ■教え子たちから祝福の声 「認められた証し」「誇り」
 「全国に認められた証し」「教わった一人として誇り」-。綾部美知枝さん(73)の日本サッカー殿堂入りを受け、かつての教え子たちからも祝福の声が上がった。
 清水FCに加え、小学校の担任としても指導を受けた大榎克己氏(57)=J1清水エスパルスクラブ・リレーションズ・オフィサー=は「自分の原点を築いてもらった人」と感謝する。あいさつや生活習慣といった人としての基本を教わり、サッカーでも「考えてプレーする習慣を植え付けてもらった」と振り返る。
 県サッカー協会の遠藤文朗専務理事(61)は、綾部さんが清水FCで最初に監督を務めた代の一人。「温かさと厳しさのある、魅力的な先生」と評する。綾部さんと同じ教員の道を歩み、本年度からは本県サッカーの振興を図る現職に就いている。「綾部さんら先輩方が築いた歴史を引き継ぎ、胸を張って“王国静岡”と言えるようにしたい」と思いを新たにする。

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