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テーマ : 牧之原市

幼稚園「改善勧告」視野に静岡県調査 在籍児168人、他園受け入れ整う 牧之原園児死亡

 牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」で女児(3)が送迎バス内に取り残され死亡した事件を受け、静岡県は9日、法令違反をただす改善勧告を視野に調査を進めていく方針を示した。休園が続く同園の園児168人については、杉本基久雄市長が市内の他の認定こども園や保育園などで受け入れる態勢が整ったことを明らかにした。

花束やジュースが供えられた献花台=9日午後、牧之原市静波(画像の一部を加工しています)
花束やジュースが供えられた献花台=9日午後、牧之原市静波(画像の一部を加工しています)
川崎幼稚園の特別監査に入る県や市の職員=9日午後、牧之原市静波
川崎幼稚園の特別監査に入る県や市の職員=9日午後、牧之原市静波
花束やジュースが供えられた献花台=9日午後、牧之原市静波(画像の一部を加工しています)
川崎幼稚園の特別監査に入る県や市の職員=9日午後、牧之原市静波

 県は同日、特別監査を実施した。理事長兼園長や副園長、職員に聞き取りを行い、事件当日の降車時の手順などについて確認したという。県福祉指導課の小池美也子課長は今後の対応について、「(昨年7月に保育園の送迎バス内で男児が死亡した)福岡の事例では1カ月程度で勧告が出ている。スピード感を持ち、事案の重大性に鑑みて法令に抵触する事象がないか確認する」と述べた。
 市によると、同園を除く市内10園と調整し、168人全員が受け入れを希望しても対応が可能と判断した。現在は川崎幼稚園を通じて保護者の意向を聞き取っている。
 運営する学校法人「榛原学園」は同日までに、静波、細江両保育園と子育て支援センターみらいえの運営から退く意向を市に申し出た。9月1日時点で静波保育園に130人、細江保育園に103人が在籍している。市は別の民間事業者や市が設立した社会福祉法人による運営への移行を念頭に手続きを進めるとみられる。ただ手続きには通常1年以上が必要という。
 杉本市長は川崎幼稚園について「60数年の歴史があり、信頼のある幼稚園だと思っていたが、運営管理に問題があった」と指摘し、他の3施設からの撤退意向については「運営者が榛原学園ということで批判を受ける可能性があり、市に迷惑を掛けられないとの思いからだろう」と推し量った。

 ■苦しさ思い涙 ジュース、献花台に
 牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」の送迎バス駐車場や同園の入り口には献花台が設けられている。事件発生から5日たった9日、献花台には女児の死を悼む人が絶えず、花束や飲み物を供え、沈痛な面持ちで手を合わせる姿が見られた。
 「なかよくしてくれてありがとう ずっとわすれないよ」「あつかったね。くるしかったね。よくがんばったね」―。献花台には、熱中症で亡くなった女児に思いを寄せて書いたとみられる手紙が置かれ、凍らせた麦茶や、すぐに飲めるようにストローを挿した紙パック入りジュース、子ども向けの菓子があふれた。
 近所に住む60代の女性は「5歳と3歳の孫がいる。かわいそうで切ない。のどが渇いただろうに」と涙を浮かべてジュースを手向けた。菊川市から訪れた3歳と0歳の子を持つ30代の女性会社員は「園側の会見を見て、怒りを通り越した」と声を震わせた。

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